シンガポールGPは、F1でも他に類を見ない特徴を持つグランプリレースだ。そのために、2008年にF1カレンダーに加わって以降、このレースならではの記録やエピソードが生まれている。そのいくつかをメルセデスF1チームがまとめて紹介している。
●これまでにシンガポールGPでワン・ツー・フィニッシュを決めたチームは出ていない。このことからも本質的に難しいコースであることがうかがえる。
●シンガポールは市街地コースで、レースウイークを通じての路面改善が著しい。そのため、金曜日夕方のフリー走行1回目と土曜日夜の予選との間ではラップあたり最大3秒程度の短縮がみられる。
●過去11回行われたF1シンガポールGPのすべてにおいて、最低でも1度ずつセーフティカーが導入されている。
●コース途中のエスプラネード橋では、コンクリート路面を支える鉄骨が磁気を帯びている。周辺に生じる磁場はかなり強力で、通過するマシンのセンサーの一部がその干渉を受けてしまうため、各チームはいくつかのセンサーについて、磁気干渉を受けにくい特別なものと交換している。また、磁気の影響からギヤボックスの油圧バルブを守るため、各チームはシンガポールでの走行に限り、磁気誘導を目的として“ミューメタル”という特別なニッケル合金で覆っている。
●シンガポールでのナイトレース開催を可能にしているのは、マリーナベイ・ストリート・サーキットを照らす1600もの照明投光器だ。
●極端に高温多湿な気候のため、ドライバーはレース中の発汗で体重を約3kg減らしてしまうこともある。
●チームのスタッフもやはり水分を失ってしまうため、水分補給は非常に重要な問題だ。暑い日には、3ないし5リットルの水分摂取が推奨されている。
●シンガポールGPにおいて、ドライバーは投光照明のもとで視認性を改善するためにクリアシールドを使用する。