4月7日にカナダGPの延期が正式に発表され、4月11日時点でF1の再開は早くとも6月下旬のフランスGP(当初は10戦目に予定)となった。
3月のオーストラリアで開幕戦が中止された時点では、「8戦目のアゼルバイジャンGPから再開されるだろう」と予測していたF1関係者たちだが、そのアゼルバイジャンGPに続いて、続くカナダGPも延期となり、その焦りは日に日に大きくなっているに違いない。
すでにマクラーレン、レーシングポイント、ウイリアムズが従業員の一時帰休あるいは給与カットを発表している。チームスタッフの中には、住宅ローンを抱えている者が少なくなく、将来への不安を抱えながら外出自粛を強いられているからだ。
焦っているのは、チーム関係者だけではない。ドライバーたちも同様だ。というのも、F1のドライバー市場は2021年に向けて今年、大きく動くと思われているからだ。
4月11日の時点で、2021年のシートが確定しているのは、わずか5人しかいない。昨年末にフェラーリがシャルル・ルクレールと契約を延長。その後、レッドブルもマックス・フェルスタッペンとの契約を2023年まで延長したことを発表した。この2人以外では、今年F1に復帰したエステバン・オコン(ルノー)とセルジオ・ペレス(レーシングポイント)、そしてジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)の3名が、現在所属しているチームとの契約が2021年も残されていると言われている。
つまり、2021年のシート争いは、残る15のシートを巡って繰り広げられるわけだ。その最大の理由は、2021年にF1は大規模なレギュレーション変更を行う予定となっていたからだ。それによって、チームの勢力図が変わることが予想され、チームもドライバーもそれを見極めた上で、契約を見直したいと考えていた。少なくとも、今年の2月のプレシーズンテストまでは……。