マクラーレンがエクソンモービルに代わり、来年からBP/カストロールとパートナーシップを結ぶという報道がアメリカGP後になされた。この報道の見出しだけを見ると、まるでマクラーレンがエクソンモービルからBP/カストロールに変更したかのようだが、実際には違う。マクラーレンはエクソンモービルをレッドブルに奪われたために、BP/カストロールへスイッチしなければならなかったのである。
現在レッドブルと提携している燃料および潤滑油サプライヤーはフランスのトタルである。しかし、トタルは2016年限りでF1の商業的活動を停止するため、エクソンモービルと交渉を開始し、首尾よく獲得に成功する。つまり、マクラーレンはレッドブルに出し抜かれたわけである。
マクラーレンの商業的活動における失態は、これが初めてではない。ボーダフォンを失ったのは、1980年以来、23年ぶりに表彰台に一度も上がることができなかった2013年末。その1年後にはドイツのファションブランドであるヒューゴ・ボスも失った。そして、昨年末にはスイスの時計メーカーであるタグ・ホイヤーとのスポンサーシップが終了した。
ボーダフォンとのパートナーシップは2007年から7年間だが、ヒューゴ・ボスとタグ・ホイヤーとは30年以上との関係で、マクラーレンの顔ともいえる存在だった。
ちなみにメキシコGP初日にサーキットに駆けつけたメキシコ人たちが身につけていた服には、ペレスが在籍していたマクラーレン時代のウェアを模倣したトレーナーを着ていた人々が少なからずいたが、その袖に刺繍されていたのは上からボーダフォン、ヒューゴ・ボス、タグ・ホイヤーだった。
エクソンモービルとマクラーレンとの関係は1995年に始まり、今年で22年目。その顧客をマクラーレンはまたも失うわけである。
なお、トタルはF1での商業面での活動は2016年限りで停止するが、テクニカルサポートは継続するため、ルノーとトロ・ロッソへの燃料および潤滑油サプライヤーは引き続き、トタルとなる模様だ。