あと1カ月ほどで登場する2017年型F1マシンのルックスは、ワイド&ローなスタイルに変貌を遂げる。シャシーの全幅が2000mmに拡大されるだけでなく、タイヤに関してもフロントタイヤが245mmから305mm、リヤタイヤが325mmから405mmと約25%も拡大されるからだ。だが、新規設計されるピレリタイヤは、ルックスだけでなく性能と特性も大きく変わるとみられている。
グリップ不足や耐久性不足が批判されることの多いピレリだが、2017年型のワイドタイヤでは、設計思想を完全に刷新したという。ピレリのレーシングマネージャー、マリオ・イゾラはこのように説明する。
「タイヤの設計コンセプトを完全に刷新して、レギュレーションに合わせワイド化しただけでなく、コンパウンドもコンストラクション(構造)も完全に違うフィロソフィで設計した。端的に言えば、接地面積が広くなり、車体側のダウンフォースが増えてタイヤに掛かる負荷が大きくなるため、それに対応できるように設計している」とのことだ。
ピレリタイヤについてのひとつの懸念事項としては、従来のように、タイヤマネジメントのために決勝でプッシュできず、わざとペースを抑えて走るような事態にならないかということだ。
ニコ・ヒュルケンベルグは「新しいタイヤの特性がどう変わったかは、実際に走ってみないと分からないと思う。もしくは数戦みてみないとね。もちろん、パドックで予想されているように、タイヤマネジメントが今ほど必要なく、もっと自由にプッシュできるようになることを願っているよ」と語っていた。