今季より2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンを積み、『Class1(クラス1)規定』へと完全移行したDTMドイツ・ツーリングカー選手権。7月のノリスリンク戦における取材では、アウディ、BMW、そして新規参入のアストンマーティンの各車の開発アプローチを伺い知ることができた。
4リッターV8NAエンジンからターボエンジンへと切り替わったことで、アウディ、BMWともに“顔つき”は大きく変化。もちろん、これはインタークーラー等の冷却のため、より多くのフレッシュエア取り入れ口が必要になるためだ。
エンジン単体、そしてエンジンルームの写真を見比べると、吸気系の取り回しやエキゾーストパイプ形状の違いなどから、両者の設計思想が異なることも伝わってくる。
また、このエンジンルームのレイアウトの違いは、ボンネットに開けられたエア抜きのダクト形状にそのまま現れているのも面白い。アウディのボンネットは“GT-R風”と表現していいだろう。
日本では2014年の導入当初、熱害やターボラグなどに各メーカーが苦労した、日本の開発陣からの情報も提供されたためか、DTMでは比較的スムーズに開発は進んだようだ。
ただし、レース後に話を聞いたあるドライバーは「振動はまだかなりある。1レース運転すると、右足の感覚がなくなることもある」とも漏らしており、“開発途上”ではある模様だ。
また、DTMでは昨年より共通エアロパッケージを採用しているため、フリックボックスやドア下のラテラルダクト、リヤディフーザーなどについては、3車の違いを見出すことはできない。
だが、共通エアロとの“境界”部分、たとえばリヤフェンダー後端からディフューザー付近にかけての作りなどでは、アウディ・BMWに比較した場合にラウンドしたベース形状をもつアストンマーティンが、合わせこみに苦労した跡もうかがえた。
DTM3車のディテールについては、9月6日発売の『auto sport No.1514』でふんだな写真とともに、さらに詳しくお伝えしている。