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海外レース他 ニュース

投稿日: 2020.05.08 12:33

自宅で観戦できるシムレースという新たな可能性/スペイン人ライターのモータースポーツ便り

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海外レース他 | 自宅で観戦できるシムレースという新たな可能性/スペイン人ライターのモータースポーツ便り

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によりモータースポーツ業界が停滞するなか、バーチャル環境によるレースが活気を帯びている。F1では公式のバーチャルGPが開催され現役のF1ドライバーたちが参戦。MotoGPやインディカー、ナスカーでも独自にバーチャルレースを開催している。スペイン在住のフリーライター、アレックス・ガルシアがシムレースの盛り上がりについて考察する。

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 シムレースとは何か?仮想環境で本当にモータースポーツができるのだろうか?それは現実的か?それは本当にプロフェッショナルなものなのだろうか?我々はシムレースに注意を払うべきなのだろうか?仮想モータースポーツにはたくさんの疑問がある。最近は多くの人々が現在の世界情勢のせいで、新たな形のレースを発見することを余儀なくされている。ありがたいことに人間には適応力があるおかげで、新しい考えを基にして築き上げることができるのだ。家から出られない?問題はない、そういうことならモータースポーツを家の中に持ち込める。だが、それは本当に同じものなのだろうか?

 私は幸運だ。スペインは長年にわたってシムレースの人気が高い国なのだ。それはもしかすると、ルーカス・オルドネスがプレイステーション3のレースゲーム『グランツーリスモ5プロローグ』で初回の『GTアカデミー(プレイヤーたちの中からドライバーとしての才能を持つ者を発掘することを目的とした大会)』競技で優勝し、本物のレーシングドライバーになったからかもしれない。もしくは、スペイン人は競争が好きだが、実際のレースに参加する資金がなく、シムレースがうってつけの代替物になっているのかもしれない。とにかく、私の国ではシムレースは強い存在感を放っている。そのため私はこの数年、仮想レースの世界に注目してきた。だから人々の疑問の一部には答えることができると思う!ただそれはもちろん私の意見というだけだが……。

 シムレースについて、私がファンやドライバー、また、他のメディアから聞かれる最も重要な質問がある。「シムレースは本物のレースと同じなのか?」ということだ。スペインの多くの“シムレーサー”たちは、イエスと答えたいだろうが、それは誤りだ。もちろん仮想モータースポーツは本物のモータースポーツとは違う。同じになることはできない。仮想世界ではドライバーに身体的負担がほとんどかからないし、またコース上で特定の物事を止めることになる事故のリスクもほぼない。

 だがシムレースは本物のモータースポーツと同じである必要はない。バーチャルレースは独自の分野であり、他のものとは違っているし、受け入れるべきある利点があるのだ。まず、シムレースは現実のレースよりもはるかに安くすむ。しかし正直に言えば、競争力をつけるのに必要な設備は、ますます高価になっている。ハイエンドのステアリングホイールにペダル、高性能なコンピュータと、より没入感を追求するための3画面構成ディスプレイなどだ。これらには大金がかかるが(一部のプロドライバーはシムレースに年間100万円以上使うという)、それでも実物のクルマを買ってレースに出るよりはまだ安いだろう。

■シムレースは現実のドライビングとそん色ないプレイ感覚


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