仮想モータースポーツのもうひとつの良い点は、精神面の働きはほぼ同じということだ。戦略、オーバーテイク、防御の動き、ライバルとのプレッシャーのやりとりといったことの感触は、100パーセント本物だ。ルーカス・オルドネスは、仮想モータースポーツは、現実のレーシングドライバーにとって“ジム”のようなものになり得ると語っている。集中力と新品タイヤを使いこなす能力を高め、すぐに速いラップを刻む……。そこには精神面における競争の要素がたしかにあり、非常に正確に再現することができる。もちろんそうするためには、仮想を現実に十分近づけるためのある程度の現実世界でのドライビング経験が必要だ。

 F1ドライバーのランド・ノリスはF1に参戦する前に、少なくとも20パーセントのことをレーシングシミュレーターから学んだと語っている。それはノリスの自宅にある彼自身のシステムと、当然ながらウォーキングにあるマクラーレンのシミュレーターの両方からという意味だ。レーシングチームやマニュファクチャラーが所有しているシミュレーターは非常に高価な装置であり、我々が購入して自宅に設置できるようなものではないことを指摘しておくことは重要だ。しかし消費者として我々が使えるものも、原則は同じだ。

 今では新型コロナウイルスを巡る状況から、シムレースがいっそう主流になってきている。まるで現実のモータースポーツのように、家から観戦できるレースシリーズが数多く存在するのだ。F1、インディカー、NASCAR、WTCRなどいくつかの選手権は公式シリーズを開催しているが、他にも『TheRace』や『Veloce』(世界でも最大のシムレースチームのひとつ)といった他の団体が主催するシリーズがある。ドライバーはシリーズを大いに楽しんでいるが、それは彼らが世界で最も好んでいること、つまり競争ができるからだ。

■レース中の不適切な発言でシートを失ってしまったドライバー

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