更新日: 2023.05.08 22:42
“新体制”DTMはタイヤ&燃料費増。開幕前唯一のプレシーズンテストは初日欠席のエンゲルが最速
DTMドイツ・ツーリングカー選手権がADACドイツ自動車連盟傘下に入り、新たに組織改革が行われての開催となる2023年。さまざまな事務・行政手続きや旧DTMとADAC GTマスターズとの調整などで、今季は例年よりも約1カ月遅れの5月27~28日にオッシャースレーベンで開幕する運びとなった。
その開幕ラウンドに先立ち4月15日(土)から16日(日)の二日間にわたり、新生DTMとして初の公式テストがオーストリアのレッドブルリンクで実施された。
■ガソリン価格が倍増!
テストは前日14日(金)の搬入日にふたたび冬に舞い戻ったかのように寒波が到来し、積雪もあったため開催自体が危ぶまれた。しかし、テスト両日は厚い雲に覆われていものの時折晴れ間も見える天気となり、すべてのセッションがスリックタイヤでの走行となった。
なお、タイヤに関しては昨季2022年までのミシュランのワンメイクから供給メーカーがピレリに変更となったため、スリックのみならずウエットタイヤも試しておきたかったという声が挙がっていたが、前述のとおりウエットタイヤの出番は訪れなかった。
ADAC GTマスターズやGTワールドチャレンジでもピレリのワンメイクタイヤが使用されていることから、DTMに参戦する多くのチームがすでにピレリでの走行を経験しているとはいえ、それぞれのシリーズで使用されるタイヤのコンパウンドが微妙に違うとあり、必ずしもセットアップがそのまま使用できるわけではないようだ。
タイヤサプライヤーの変更はチームの経済状況にも変化を与えた。今季のピレリタイヤは昨年のDTM用ミシュランタイヤの1セット価格2500ユーロ(約37万円)よりは若干安く2136ユーロ(約31万円)となっている。ただし、1レースウイークに使用できるセット数が前年の4セットから5セットに増えたことでトータルではチームの経済的負担が増したかたちだ。
また、レースでは欠かせない燃料だが、昨年までのDTMでは1リットル2.50ユーロ(約370円)のガルフのガソリンが使用されていたが、新生DTMではシェルのブルーガソリン98が導入された。こちらは1リットルあたり5.02ユーロ(約740円)という驚きの価格だ。
■スケジュールの関係で一部のチームやドライバーが欠席
レッドブルリンクでのテスト初日はテストセッションが3本で合計6時間、2日目は同様にセッション3本で6時間45分に加え、各チーム1台ずつが参加する55分のタイヤテストが行われた。また、ドライバーたちはミックスゾーンでのメディアラウンドテーブルや、フォトセッションなどもありタイトなスケジュールをこなした二日間となった。例年のDTMでは開幕前のオフィシャルテストは二回開催されているが今季はこの一度きり。今回のテストは週末に行われたとあり、一般のファンはパドックへの入場は禁止されていたものの、1コーナースタンドはファンに無料開放され、家族連れなどでにぎわった。
そんなプレシーズンテストでは、メルセデスAMG GT3を駆るマーロ・エンゲル(メルセデスAMG・チーミ・マンフィルター)が1分28秒117で二日間の総合ベストをマーク。次点で現シリーズチャンピオンであるシェルドン・ファン・デル・リンデ(シューベルト・モータースポーツ)のBMW M4 GT3が1分28秒138で続いた。
ハウプト・レーシング・チームのアルジュン・マイニ駆るメルセデスAMG GT3エボが、マルコ・ウィットマン(プロジェクト1)のBMWのタイムを上回り総合3番手となっている。
BMWのワークスドライバーのシェルドンとウィットマンは、土曜日に行われたNLSニュルブルクリンク耐久シリーズを終えた後に飛行機でレッドブルリンクへ移動し、日曜日のセッションのみに参加した。
一方、今シーズンはSSRパフォーマンスから参戦するランボルギーニのワークスドライバー、ミルコ・ボルトロッティは同じ週末にポルトガルで行われたWEC世界耐久選手権第2戦ポルティマオを優先し、今回のテストを欠場。SSRは彼の代役として同じくファクトリードライバーのサンディ・ミッチェルを起用し、ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2でのデータを収集している。
また、パトリック・ニーダーハウザーとマティア・ドルディを擁し2台のアウディR8 LMSエボIIを走らせるトレゾア・オレンジ1はテストを欠席した。