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海外レース他 ニュース

投稿日: 2023.05.31 07:10
更新日: 2023.05.30 23:22

リンク&コー駆るエルラシェールが新世代TCR世界戦初勝利。ヨーロッパ組ジョン・フィリピは大金星

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海外レース他 | リンク&コー駆るエルラシェールが新世代TCR世界戦初勝利。ヨーロッパ組ジョン・フィリピは大金星

 すでにフランスのポー市街地で第2戦を終えたTCRヨーロッパ・シリーズと再合流し、ベルギーはスパ・フランコルシャンでの第2戦を迎えた新生TCRワールドツアーは、前身たるWTCR世界ツーリングカー・カップ連覇も経験するヤン・エルラシェール(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)が待望の新世代世界戦で初勝利。レース1でポール・トゥ・ウインを飾り、同戦のヨーロッパ組からは今季ラリークロスより転向の新鋭コービー・パウエル(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が、早くもシリーズ初優勝を飾る活躍を演じた。

 そして週末最後のレース2では、2014~2017年までWTCC世界ツーリングカー選手権にも参戦したジョン・フィリピ(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が総合優勝を果たし、ヨーロッパ・シリーズ登録の苦労人が世界戦組を差し置いての最高峰初勝利を手にしている。

 双方の開幕戦となったポルトガルのアルガルベに続き、新たなジョイント開催の枠組みとして同一セッションでの勝負を繰り広げる両シリーズだが、今回はTCRワールドツアーが第2戦、TCRヨーロッパが第3戦と開催ラウンド数が異なるイベントとなった。

 この週末のスパは、全長7kmを超えるコースとロングストレートによるウエイト感度や“トウ合戦”に、高い気温による路面コンディションが焦点に。そんな状況下で、当初より赤旗絡みとなったFP1では新型モデル『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』で孤軍奮闘のネストール・ジロラミ(ALMモータースポーツ)が最速タイムを記録し、続くFP2ではコムトゥユー・レーシングよりシリーズデビューを飾ったパウエルのアウディがトップタイムを奪う。

 迎えた予選ではラディヨンからケメル・ストレートに掛けて、直線速度を助けるべく“牽引車”を探すドライバーや、フライングラップ開始直前に前方へ充分なスペースを確保するため最終セクターで極端に速度を落とすドライバーなど、一部で混沌とした状況も招くセッションとなるなか、Q1、Q2ともにアウディ陣営が代わる替わる首位タイムを刻んでいく展開に。

 しかし「誰かの後ろで走っても楽しくない。とにかく全開で行くだけ」と語り、クリーンエアでの1発に賭けたエルラシェールが直球勝負でポールポジションを射止め、僚友テッド・ビョークやサンティアゴ・ウルティアらがトラックリミット違反で最速タイム抹消の憂き目に遭うなか、予選最大の15点獲得に加えてウエイト搭載を甘んじて受け入れる態度を示した。

今回のラウンドではフィリップ・リンドバーグを僚友に迎えたネストール・ジロラミ(ALM Motorsport/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)「情報共有は理解向上の大きな後押しになる」
予選総合4番手、ヨーロッパ組のポールを獲得した18歳の新鋭コービー・パウエル(Comtoyou Racing/アウディRS3 LMS 2)
予選は、直線速度を助けるべく”牽引車”を探すドライバーや、フライングラップ開始直前に前方へ充分なスペースを確保するため最終セクターで極端に速度を落とすドライバーなど一部で混沌とした状況も招くセッションに

 一方、別の理由でペナルティを言い渡されたのがBRCヒョンデN スクアドラ・コルセのミケル・アズコナ(ヒョンデ・エラントラN TCR)で、WTCR最後の王者はQ2終盤のアタックへ向かう際にトム・コロネル(コムトゥユー・レーシング/アウディRS3 LMS 2)を牽制してラインを封じ、両者はレ・コンブで接触。アタック中断に加えてグリッド降格ペナルティにより、アズコナはレース1で3番手ダウンの14番手スタートとなってしまった。

「ヤツらはレースじゃなくゲームをしている」と憤慨するのは、最終的に7番グリッドとなったコロネル。「スロットルを緩めて政治的な駆け引きをするなんてクソだ!」

 現地土曜15時30分に開始されたレース1は、フロントロウに並んだ僚友マ・キンファの蹴り出しが遅れ、ポールシッターのエルラシェールはFL5型シビック、ジロラミとの対決構図に。

 続く2周目には前戦ポー市街地勝者のドゥサン・ボルコヴィッチ(ターゲット・コンペティション/ヒョンデ・エラントラN TCR)が1周に渡って他車との接触劇を演じ、最後はラ・ソースでクラッシュし、ここでセーフティカーが導入される。

 それでも再開の4周目以降、マネジメントに徹してシビックの攻撃をしのいだリンク&コーの元王者が、1ラップ延長の9周目にトップチェッカーを迎え、エルラシェールがまずはTCRワールドツアーでの初勝利を達成。

 序盤でウルティアにパスされ3位表彰台は明け渡したものの「とにかく疲れた! もちろんとても安心したが、今の気持ちを言葉にするのは難しい。あれが僕にとって初めてのセーフティカー・リスタートだったし、フロントタイヤの準備がまったく整っていなかったんだ」と語った18歳のパウエルが、ヨーロッパ組最上位となる総合4位で、シリーズ最大ポイントを持ち帰った。

マネジメントに徹してシビックの攻撃をしのいだLynk&Coの元王者ヤン・エルラシェール(Lynk&Co Cyan Racing/Lynk&Co 03 TCR)が、まずはTCR World Tourでの初勝利を達成した
「TCRヨーロッパのタイトルについて考えるのは時期尚早で、焦点はルーキーチャンピオンシップであり、それに成功できれば素晴らしい」と欧州勝者パウエル(右下)
「モデル初年度だし、まだまだ学ばなければいけないことはたくさんあるが、このクルマには大きなポテンシャルがある」とレース1で2位表彰台のジロラミ

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