豪州大陸が誇る最高峰ツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの第6戦『NTIタウンズビル500』が7月7~9日に開催され、土曜はコカ・コーラ・バイ・エレバスのウィル・ブラウン(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロZL1)が勝利し、19位に終わった僚友ブロディ・コステッキを逆転して選手権リードを奪う展開に。
続く日曜は今季ここまで不振に喘ぎ続けてきた名門ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)のアントン・デ・パスカーレ(シェルVパワー・レーシング/フォード・マスタング)が、セーフティカー(SC)絡みの戦略も成功させ待望のシーズン初勝利を記録。今季前半の16レースでトップ5フィニッシュわずか1回の男が復活の狼煙を上げると同時に、年間カレンダーの折り返しで8人目の勝者が誕生し、記録更新の可能性も出る激戦が続いている。
第5戦の『ベター・ダーウィン・トリプルクラウン』を終え、北米大陸に飛んでNASCARカップシリーズの視察に向かったエレバス・モータースポーツのふたりと、同じくシカゴにて初開催のストリート戦に出場し、世界に衝撃を与えるデビューウインを飾った“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/シボレー・カマロZL1)が凱旋した週末。パドックの話題は世界的に急騰するSVGの評価と「将来的なキャリアの選択肢」に集中した。
所属先のトリプルエイト・レースエンジニアリングでマネージングディレクターを務める、元スーパーカー“セブン・タイムス・チャンピオン”のジェイミー・ウインカップは、メディアから繰り返し問われる質問に対し、英雄の帰国を前に「もしチームのメンバーが『地球の反対側に行って何か他のことをしたい』という願望を表明したら、僕はその意志を尊重したい。彼らの邪魔をするつもりはない」と発言していた。
これに対し、チームとは2024年末までの契約を結んでいるSVGは、週末のイベントに先立ち「将来の計画について、まだジェイミーとは会話をしていない」としながらも、既存の来季契約を「履行するつもりである」との意思を語った。
「もちろん携帯電話の熱は上がっているが、当然のことながら、まだ適切なオファーはないよ」と続けた現RSCのディフェンディングチャンピオン。
「本当にもっといろんなことを続けて試していきたいし、ここ(タウンスヴィル)には来年も訪れるつもりだ。もちろんジェイミーのコメントは読んだけど、それは興味深いものだったね(笑)」
ただし、現在のNASCARは年間スケジュールのうち“非オーバル戦”の数が増え続ける傾向にあり、将来の選択肢としてカップシリーズがより「魅力的になってきている」とも付け加えた。
「そう、オーバルはまったく別の世界だ。いきなり走り出して首位争いができるなんて想像もつかない。習熟には長い時間が掛かるだろうね」と続けたSVG。「挑戦してみたいのは当然だが、今後数年間でロードコースが6〜8つあるのは、たしかに魅力的だよ」
そのNASCARでも導入2年目の“Next-Gen”でしのぎを削るフォード・マスタングとシボレー・カマロZL1だが、ここ豪州大陸で初年度となる“Gen3”規定の2台には、第5戦終了後に『同等性評価(パリティ・レビュー)』の規約が発動。
先のレース2ではトップ10のうち実に9名がシボレーのステアリングを握っており、シリーズ条文にも記される「連続する5戦、または8つのチャンピオンシップイベントのうち、5レースにわたって一貫して達成する必要がある」という性能評価の閾(しきい)値を超えたことで、ラップタイム分析を含めた再評価と調整手法の検討が進められた。