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スーパーGTニュース

投稿日: 2010.04.12 00:00
更新日: 2018.02.23 11:18

スーパーGT/DTMの技術規則統一の流れはどうなる? 柿元部会長に聞く


 レーシングオン『コスワース特集号』、さらに週刊オートスポーツNO.1249号にも記載されていたとおり、ついに動き出したスーパーGTとDTMドイツツーリングカーマスターズの技術規則統一に向けた動き。この実際の流れはどうだったのか、日産系チームの総監督でもあり、JAFマニュファクチャラーズ部会の部会長も務めている柿元邦彦氏に話を聞いた。

 柿元部会長は、自身がコラムを持つレーシングオン誌の『コスワース特集号』で、自らが部会長を務めるJAFマニュファクチャラーズ部会での議論の内容を明記。スーパーGTとDTMの間で技術規則を統一していく方向で動き出したことを明らかにしたが、これについてオートスポーツwebでは、スーパーGT第2戦の際に柿元部会長に直接話を聞いた。

 元々この話は昨年のスーパーGT最終戦もてぎに、DTMを運営するITRの代表団が来日。DTMについてのプレゼンテーションを行い、さらに12月にはJAFとともにITRが都内で会合を開き、国内の自動車メーカー、タイヤメーカーなどに、ITRが提案する『統一規則案』を提示したというものだ。

 ここまではオートスポーツwebでも既報の通りだが、柿元部会長によれば、1月からJAFマニュファクチャラーズ部会の部会長に就任(任期は3年)した段階で、このITR側からの提案を前向きに議論すべく、JAFと協議。マニュファクチャラーズ部会の中にワーキンググループを作り、この提案を3回に分けて議論することになったという。このワーキンググループにはトヨタ、ホンダ、ニッサン、スバルの4自動車メーカー、JAF、GTアソシエイションの坂東正明代表が参加。第2回目以降はタイヤメーカー4社がこれに加わった。

 このワーキンググループの第1回目では、ITR側の提案の『真意』を確認。日本側として、レースのコンセプトも距離も異なり、さらにレース運営の形態も違う状況でのコラボレーションについてを議論。ITR、そしてドイツの自動車連盟であるDMSBにこの提案の真意や疑問点を書面で通達したという。

 日本側からの疑問についてドイツ側からは書面で『(1)この提案はあくまでDTM/スーパーGT500クラスの技術規則を統一することのみで、お互いの乗り入れを実現すること。(2)2012年、もしくは2013年にドイツのメーカー2社がスーパーGTに参戦を計画している。コラボレーションがうまくいった場合にはBMWもそれに加わる』という2点が返答として戻り、これを第2回目の会合で確認、日本側で各メーカーにいったん持ち帰り、3回目に技術規則統一に向けて動きだそう、という結論が出たという。合意の内容についてはオートスポーツwebやレーシングオン誌でも触れたとおりだ。

 海外メディアの報道にもあった通り、ITRからアメリカのロレックス・グランダムシリーズへも同様の提案がなされているというが、これについて柿元部会長は「日本からアメリカへ、という話の流れは無かった。これはまだ第一歩の話で、基本的な考え方ということ。ではどういう規則でエンジンはどう統一するか? グランダムはどう思っているのか? というのはまた会議を作ってやらなければならない。グランダムとDTMと(3者で)話さなければいけない」としている。

 今回の技術規則統一に向けた流れは、意志決定の時間が考慮され『2015年から』という合意事項になっているが、柿元部会長によれば、DTM側がスーパーGTのアイデアを取り入れることなどによって、このタイミングをできれば早くしたいと示唆。早期に実現することで、モータースポーツ界の人気回復への起爆剤にできれば、と語る。

「この話は実現できれば、その効果は本当に大きい。一般のニュースやテレビも絶対取り上げるはず。そうすれば、皆さんお金使ってでもやると思う。従来の延長上ではダメ。今のスーパーGTでみんながすごく頑張ってお客が2割増となっても、そこにメーカーは費用を出しにくい。それが、アウディ、メルセデスが一緒に走るとなると、反応もかなり違うだろうし、モータースポーツにお金を使う価値が出てくると思う」と柿元本部長。

「今回、作業部会をやるにあたっての考え方をふたつ挙げています。ひとつは、レースだからコンペティションがなければいけない。もうひとつは、費用対効果。普通はコスト削減、という話になるけど、そうではなくて、魅力あるものにすれば、同じお金を使っても効果が違う。費用対効果をポジティブに捉えたものにしたんです」

 一方、今回技術規則統一に向けた議論がスタートしたところで、実際にドイツメーカーが参戦を実現、交流戦を実施するにはハードルも高い。スーパーGT公式テストの際の記者会見で坂東GTA代表が語ったとおり、実際ドイツメーカーが参入するような魅力あるレースにするには、メーカーがプロモーションを行える場としてのレースの環境作りが急務で、技術面にばかり資金が投入されがちな日本のレース界が、レース全体のプロモーションにも資金が割かれるヨーロッパの良い面を学ぶ必要があるのではないか。ソフト面に対してもメーカーが資金を投入できるレース運営の枠組み作りが、ヨーロッパやアメリカとの技術規則統一と並行して実施されるべきだろう。

 柿元部会長は、今回の日本側とドイツ側との交渉において、今季11月に行われるDTM上海戦、スーパーGT/Fニッポン特別戦『富士スプリントカップ』において両者のマシンが乗り入れることですでに話が進んでいると明かす。だが、これは実現したとしても、いきなり実戦参加という訳ではなく、上海で3メーカーのGT500マシンが、富士でDTMマシンがデモランを行うものになるとのことだ。

 まずはこの場で双方が何をアピールできるのかが、技術規則統一を原点としたスーパーGT/DTMの交流の第一歩となりそうだ。


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