更新日: 2018.02.17 09:32
ロータス小松コラム:FP1まで1時間を切ってタイヤがない!
ロータスF1チームで昨年、ロマン・グロージャンを担当していたレースエンジニアの小松礼雄氏。今シーズンはチーフエンジニアに昇格してグロージャン、そしてパストール・マルドナドの2台のマシンでF1を戦います。
今季の躍進著しいロータスF1チーム。上位3つのワークスチームに次いで、4~5番手を争うパフォーマンスを見せていますが、前戦のハンガリーGPでは2台で4度のペナルティというまさかの展開に……。金曜日走行前には金銭問題でピレリからタイヤが支給されずという難局が訪れましたが、小松エンジニアはどう対処していったのでしょうか。
F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム、第11回目の一部をお楽しみください。
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セッションまで1時間を切ってタイヤがない!
ペナルティを受けたときのチーム内の動き
ハンガリーGPは最初から最後まで大変な週末でした。まずは金曜日ですが、ピレリへの支払いの問題でFP1開始50分前までタイヤを受け取ることができませんでした。こんな事態は経験したことがありませんが、情けない話ですね。セッション1時間前にミーティングをしますが、その時でさえタイヤが来るのかどうか、まったくわからない状況でした。タイヤをリムに取り付け始めてから、タイヤウォーマーに入れるまでも時間がかかるので、実際にタイヤを温め始められたのはセッション開始10分前!
通常ですと最低2時間半はウォーマーで温めますが、この時はまったく時間が足りないので設定温度を上げて急速に熱を入れました。こういうことは、タイヤにも良くないし、また有意義な走行はできません。今の規則ではFP1開始から30分以内に1セット目のタイヤは使わなければいけません。でもウォーマーに入れてから40分では全然時間が足りないので、結果的に1セット目のタイヤではインストール(インスタレーションラップ/計測ラップではなく、システムチェックのためのアウト・イン)をするに留まりました。2セット目のタイヤも、なるべくウォーマーに入っている時間を稼ぎたかったので最後まで待って、セッション終了直前に1ランだけやりました。もちろん、予定していた空力のプログラムは何もこなせません。ジョリオン(パーマー)なんか、赤旗で計測ラップもできなかった。ホント、うちのオーナーはいろんなチャレンジを僕らに与えてくれます。。。
というわけでFP2が本当の意味での初セッションになりました。このセッションも赤旗がありましたが、とにかくロングラン優先で進めました。FP3に向けては路面温度の違いなどを考慮に入れながら修正をして、少しずつクルマは良くなって行きました。しかし、この状況では厳しい予選になるだろうなとは思っていました。この段階でQ3に残る可能性はあまりないと思っていたし、Q3に行けたとしても9位が限界だろうと予測していました。なので、予選はレースにむけてオプションタイヤをセーブするプログラムで行くことに決めました。