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F1ニュース

投稿日: 2011.09.27 00:00
更新日: 2018.02.16 05:01

可夢偉、母国と日本GP開催への強い思いを語る


 ザウバーの小林可夢偉は、日本GPを前に、大きな災害が発生してから半年が過ぎた日本の現状を世界の人々に対して説明するとともに、F1が日本を訪れることには大きな意味があると訴えた。

 ザウバーチームの公式サイトのインタビューにおいて、日本の今の状況を聞かれ、可夢偉は次のように答えた。
「3月に知らせを受けた後、災害の状況はどんどん悪くなっていきましたが、日本は見事に立ち直ってきていると思います。それは日本に対して海外からたくさん支援が寄せられているからであり、日本人がとても強く、互いに助け合い、支え合ってきたからでもあります。もちろんまだ先は長いですが、大きく前進してきました」

 F1が鈴鹿を訪れるのは日本という国、そして日本の人々にとっていいことだと思うかと聞かれ、可夢偉は「間違いなくいいことだと思います」と述べている。
「グランプリは日本の中でもとても大きなイベントです。日本の人々にとってもこの国にとってもとてもポジティブなことですし、レースを開催することで、国際的に認識されるということもあります。皆ハッピーな気持ちになり、F1をエンジョイします。だからこそ、大きな悲劇がこの国を襲いましたが、これまでどおり僕らは日本でレースをします」

 3月11日に日本に大地震と津波が起きた時、可夢偉は新車のテストをしていたという。
「その日、バルセロナで新車のテストをしていました。プレシーズンテストの最終日で、僕が担当の日でした。午前中に知らせを受けた時はそれほど深刻な感じはしませんでしたが、その後、1時間ごとにニュースが伝える状況が悪くなっていきました。そんなことが起こるなんてとても信じられませんでしたし、テストやレースシミュレーションに集中するのも難しかった。チェルノブイリの大惨事のことも考えてしまい、日本のような小さな国でそんなことが起きて、もう母国に帰れないのではないかとも思いました。本当に辛かった。楽ではなかったし、とても気持ちが乱れました」

 可夢偉は被災者のため、いくつかの活動を行っている。
「一番重要なのは、全世界的に、さまざまな団体によって、たくさんの取り組みがなされたことです。僕個人としては、人々が小額の寄付をする機会を作りたかった。それでiPhoneやiPad用のアプリ『You are connected』を作りました。これは全F1ドライバーとチーム代表の写真とメッセージを集めたものです。値段はわずか0.79ユーロで、最初の2カ月で49カ国の1万人以上の人々がダウンロードしてくれました。額は少なくても、助けたいという気持ちを持っている人たちに機会を提供することが大事だと僕は思っています。それに、すべてのF1ドライバーとチームが日本の人々との連帯感を表すために協力してくれたというのも素晴らしいことでした。ですが、最終的には政府が国を救うべきだと僕は考えています」

 可夢偉は日本GPに被災地である福島県南相馬市を中心に活躍する少女合唱団「MJC アンサンブル」のメンバーとその家族および関係者の約60名を招待、彼女たちは決勝スタート前のセレモニーで日本国歌を歌うことになっている。

 また、震災前に、可夢偉は、獲得ポイントに応じた人数のファンを日本GPに招待するという企画も立ち上げており、27ポイントに相当する27組の招待が決まっていたが、応募者多数につき、10組増やし、37組を招待した。

 可夢偉は1年以上前から観光庁のスポーツ観光マイスターも務めており、何度も会議に出席、さまざまなプロジェクトの手助けをしている。「F1に日本の自動車メーカーが参戦していないのは本当に辛いです。自動車メーカーがいてくれたら、協力し合えてずいぶん楽だったでしょうけど」と可夢偉は語っている。

[東日本大震災支援アプリ「You are Connected」]
iTunesへのダイレクトリンク
http://itunes.apple.com/app/you-are-connected/id434404290?mt=8
アプリの紹介ページ
http://www.ign.jp/connected/