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スーパーGTニュース

投稿日: 2012.02.03 00:00
更新日: 2018.02.16 07:07

CR-Zに大きな関心。プリウスとは異なるアプローチ


 3日、今季のスーパーGT第4戦スポーツランドSUGO戦からGT300クラスにデビューすることが明らかにされたホンダCR-ZのGT300車両。ハイブリッド車両でのGT300参戦は、東京オートサロンで明らかにされたトヨタ・プリウスに次ぐもので、発表会では多数の質問が投げかけられた。

 ホンダが"運転する楽しさをもったハイブリッドカー"として2010年から発売したCR-Zは、そのスポーティなフォルムからモータースポーツへの活用が長年噂されてきており、オートスポーツでは何度かスーパーGT登場の可能性を報じてきた。

 そんなCR-Zだが、3日に行われたホンダのモータースポーツ活動発表会の場で、突如として今季途中からのスーパーGT参戦が明らかにされた。マシン製作については、ホンダ自体がパワートレインを担当。M-TECとの共同プロジェクトという形を取り、フォーミュラ・ニッポン同様TEAM無限として第4戦SUGOから参戦。ゼッケンは無限ワークスナンバーの16を使用する。

 このCR-Zは、発表された資料では"レーシングハイブリッド"というシステムを搭載すると記載されている。今季のスーパーGTには、aprがトヨタ・プリウスのGT300仕様を開発。そのプリウスは市販車のハイブリッドシステムをそのまま使い、レースの場での可能性を探るプロセスをとっているが、このCR-Zのレーシングハイブリッドは、モータースポーツに特化したシステムになるという。

「今までのエンジンだけのクルマとは考え方が違うレーシングカーとしてやっていきたい。2年前にNSX-GTでハイブリッドシステムのテストをしましたが、燃費面でも向上できますし、タイムでも縮めることができる。オーバーテイクのためにも使うことができる。レースという面で、あらゆる使い方を想定したいと思います」と語るのは、松本雅彦GTプロジェクトリーダー。

「今年は途中からの参戦だが、GT300は(パワーがある)FIA-GT3規定のマシンがいるので、戦闘力としては馬力面でかなり厳しくなると思う。CR-Zはホイールベースも短いのでコーナーでも厳しいかもしれないが、ハイブリッドの良さを活かしたレースをしたい」

 このCR-Zのレーシングカーについては、ハイブリッド車のレース参戦ということもあり、発表会や取材の場でも、報道陣から多くの質問が飛んだ。ホンダの伊東孝紳社長は、「勝つためのシステムにするため、一生懸命開発している」とCR-Zのレーシングハイブリッドシステムについて語る。

「ハイブリッドは燃費を上げるのには非常に有効なシステム。だが、もともとクルマというのは楽しいものを買いたいと思ってもらわなければいけないと思う。ハイブリッドというのは、そういう方向に向けても可能性を秘めたシステムだろうと着眼していた」と伊東社長。

「ハイブリッドで今までのクルマでは味わえないクルマの楽しさ、爽快さを具現化することができそうだという、我々の技術的見通しが立ってきた。それをぜひ提供して、新しいパワートレインとして広げていきたい。NSXコンセプトはその象徴になると思っている」

「それと同時に、レースという環境がある。そこで、研ぎ澄まされた操縦域でも、ハイブリッドが有効な手段であるというところへ進化を遂げたい。僕は可能性はあると思っている。駆動系の内燃機関の中にモーターが入り込むことによって、必ず補完しあう、もしくはそれ以上の性能に貢献するだろうと信じている。そこを探ることは、我々としてもワクワクする挑戦」とハイブリッドの大きな可能性について伊東社長は熱く語った。

 ホンダとしては、3年以内に日本発売が予定されているNSXの発売にあわせ、GT500でもNSXを投入する予定があることを明らかにしたが、そのマシンにも、このCR-Zで開発したレーシングハイブリッドを搭載する意志があるようだ。