更新日: 2018.02.16 15:30
WECの新予選システムにドライバーから不満の声
4月12日〜14日にイギリスのシルバーストンで開催されたWEC世界耐久選手権第1戦シルバーストンでは、今季から導入された新予選システムがトライされたが、多くのドライバーから不満の声が上がっている。
今季から新たに採用された予選システムは、1台につきふたりのドライバーが最低2周のアタックを行わなければならず、それぞれのドライバーが記録した最速ラップの平均値を合計し、グリッドが決められる。しかし、第1戦シルバーストンの予選ではこの複雑な計測方法のせいか、タイミングシステムがダウンし、予選後しばらく結果が表示されないなど、現場は混乱した。
7号車トヨタTS030ハイブリッドをドライブ、予選でポールポジションを獲得したニコラス・ラピエールは、この新システムについて苦言を呈する。
「このシステムになったということは、最低でも3周はこなさないとならないよね。ということは、トラフィックのリスクが増大する。危険だと思う」とラピエールは語る。一方、予選2番手を得た8号車トヨタのアンソニー・デイビッドソンは「このシステムは、予選の価値を落とすものだ」という。
「予選というものは、トラックと自分自身が相対するものだと思うんだ。少ない燃料でニュータイヤを装着し、フレッシュタイヤでアタックをかける。このシステムでは、スポーツカーレースの魅力を削いでしまうと思う」
また、グリーブス・モータースポーツの41号車ザイテックをドライブしたトーマス-キンバー・スミスも、「タイミングモニターを見ても分からないんだ。グランドスタンドにいるファンはどうやって楽しめばいいんだ?」とこのシステムがファンのためになるのかという疑問を呈した。
一方、アウディスポーツ・チーム・ヨーストのテクニカルディレクターを務めるラルフ・ユットナーは、今回の予選ではLMPカーの走行の際に天候が変わったこと、またタイミングシステムのエラーがあったこともあり、今回だけで予選システムについての判断はできないと言う。
「トリッキーな天候で、我々には良かったのかどうか分からない。通常の予選が良かったのか、判断はまだできないだろう」とユットナー。
何名かのドライバーは、1名ごとの最速タイムを合算するシステムが良いのではないかと提案するが、WECのゼネラルマネージャーを務めるジェラール・ヌーブは、昨年までの予選を例に挙げ、「トラックで誰もマシンが走っていない状況をファンが目の当たりにするのとは比較にならないだろう。ただ、単純化を目指さなければならないかもしれない」と語っている。
なお、この新予選システムは、6月のル・マン24時間では採用されない。