WRC世界ラリー選手権の2023年シーズン第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』が9月7日に開幕した。競技初日のデイ1はギリシャの首都アテネでスーパーSS1本が行われ、計4台のトヨタGRヤリス・ラリー1で今大会に挑むTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組がベストタイムを刻んで総合首位に立った。
チームメイトのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組は総合6番手。前戦フィンランドで今季2勝目を挙げたエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組は総合11番手につけた。また、TGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のマシンで伝統のアクロポリス・ラリーに臨む勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、オジエと同タイムを記録し6番手タイとなっている。
■大雨がラリーに影響を与える
2021年にWRCカレンダーに復帰し、今年で3年目を迎えるアクロポリス・ラリー・ギリシャ。その歴史は古く初開催は1951年まで遡る。国際格式ラリーとしては1953年から行われており、今年は国際格式開催70周年の記念大会として実施される。
そんなアクロポリス・ラリーは山岳地帯の荒れたグラベル(未舗装路)ステージが主な舞台となり、高い気温となることもあわせてシーズン中もっとも過酷な一戦のひとつに挙げられるほどタフなイベントだ。この2023年も8月下旬は雨が降らず非常に暑い日が続いていたが、ラリーウイークに入ると天気は一変。サービスパークが置かれるラミアの周辺は連日大雨に見舞われ、選手たちは豪雨で路面が泥状になり、大きな水溜まりができたステージでレッキ(ステージの下見走行)を行なうこととなった。
また、大雨はラリー全体のスケジュールにも大きな影響を及ぼした。競技初日である7日(木)は午前中にシェイクダウンが予定されていたが、悪天候によるコンディション不良と、競技者やマーシャルなどすべての人々の安全を確保するためキャンセルに。さらに、10日(日)のデイ4に予定されているSS14/15“グラムメニ”は、ステージの走行距離が19.77kmから9.0kmに短縮されることが主催者から発表された。
シェイクダウンを経ずに“ぶっつけ本番”でSS1を迎えることとなった選手たちは、中央ギリシャのラミアから南に約200km離れたアテネに移動し、パルテノン神殿など古代ギリシャの建築物を見ることができるアクロポリスでのセレモニアルスタートに参加。その後、同地の市街地に設定された全長1.48kmのスーパーSSで現地19時過ぎからSS1が行われた。
このオープニングステージでは前述のとおり、ロバンペラが最速タイムを記録し、総合2番手につけるエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)を0.3秒差上回り、ラリー初日のリーダーとなった。そのロバンペラから1.3秒おくれてオジエと勝田が6番手タイムを分け合い、エバンスはトップと2.8秒差の総合11番手でデイ1を終えている。