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投稿日: 2018.08.22 14:47
更新日: 2018.08.22 17:30

予選15番手から5位入賞。大嶋の『ミディアム1周捨て』作戦から見えるSFの戦略の複雑さ

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スーパーフォーミュラ | 予選15番手から5位入賞。大嶋の『ミディアム1周捨て』作戦から見えるSFの戦略の複雑さ

 スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)は予選15番手から決勝5位入賞という大浮上を成し遂げた。1周目にピットインしてミディアムタイヤを“捨てる”大胆な作戦を最大限うまく機能させる快走で、鮮やかに10ポジションアップを果たしている。

 全戦でソフト&ミディアムのドライ用タイヤ2スペック制が実施されている今季のスーパーフォーミュラでは、チームによって得意なタイヤと苦手なタイヤが生まれる傾向も散見される。

 なかでも大嶋とトム・ディルマンを擁すUOMO SUNOCO TEAM LEMANSはソフト得意傾向が強く感じられる陣営だ。これは2戦だけ2スペック制が実施された昨年の段階からこのチームがもっている強みであり、同時に課題でもある。

 言い変えればミディアムでの感触がもうひとつなわけで、実際に今季、彼らは予選Q1のミディアム限定使用ルールに苦しめられている。予選で前のグリッドを得るのが難しいチーム状態にあることは否めないシーズン展開となっているのだ。

 もちろんミディアムでのパフォーマンスアップもチームは重要視しており、特に今回のもてぎ戦では当地初レースのディルマンがQ2進出を達成、15位だった大嶋も「ブレーキの問題が出なければQ2には普通に行けたでしょうし、Q3に行ってうまくすれば5位あたりもあったかもしれない」(片岡龍也監督)という前進をチームは感じ取っていた。

 ただ、結果として大嶋のグリッドは15番手。抜けないもてぎでここからどう浮上するかを陣営は考え、最終的に選んだのが、少々表現は良くないが“ミディアムを1周で捨てる”作戦だった。

 ドライ時は両スペック使用義務が発生する決勝レースでは、ピットストップ1回で給油&タイヤ交換というのが今季の王道戦略。1周目のピットインでは燃費的な要件を満たせないので必然的にもう1回ピットに入ることになるが、スタート時にミディアムを履いておけば、1周目のピットインでソフトを履き、2回目のピットで給油とソフト→ソフトのタイヤ交換をしてゴールまで、という絵図が描ける。

 つまり、もてぎで大嶋車が採った変則2ストップ作戦は、燃費的な意味では実質1ストップ、ほぼソフトのみ使用する実質1ストップ作戦ともいえる内容のものであった。

 得意なタイヤ、しかも速い方のタイヤでレース距離のほとんどをカバーできるメリットがあり、しかもクリーンな空間で走れる時間が拡大することも期待できる。もちろん1周目にタイヤ交換のみのピットインをすることで、新たに履いたタイヤのウォームアップタイムを含めると推定35秒前後を失うデメリットと引きかえではあるが、陣営はこの作戦を敢行、そして成功させたのである。

15番手から5位入賞を果たした大嶋和也

■片岡監督「理想通り運べば4位獲得も可能だった」


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