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投稿日: 2020.12.13 03:00
更新日: 2020.12.13 08:24

【SF最終戦富士特別連載(3)】大湯とフェネストラズ、ふたりの実力派ルーキーの“富士”にかける想い

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スーパーフォーミュラ | 【SF最終戦富士特別連載(3)】大湯とフェネストラズ、ふたりの実力派ルーキーの“富士”にかける想い

「どのレースも常に先輩方の走りを見て研究しています」大湯

──今年から乗るダラーラSF19の難しいポイントはどのような部分でしたか?
大湯都史樹(以下、大湯):昨年まで戦っていた全日本F3ではNAエンジンでしたけど、スーパーフォーミュラではターボエンジンに変わりました。これまでレースでターボ付きのクルマに乗るという経験がなかったこともあり、ハイパワーで、なおかつ繊細なアクセルワークが求められたところに最初は難しさを感じました。

シャシーの面では、F1に匹敵するような異次元な領域でコーナリングしていきますし、ダウンフォースレベルもすごく高いので驚きました。今でもそこの難しさというのはあると感じています。

2020年スーパーフォーミュラ第5&6戦鈴鹿
第6戦鈴鹿で初優勝を飾った大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

──今年スーパーフォーミュラデビューを果たしたわけですが、クルマに慣れるのにどのくらいの時間で慣れましたか?
大湯:今もまだ試行錯誤している最中ではありますが、ただ、クルマに慣れたという部分に関して言えば12月の鈴鹿のルーキーテストの後、3月末の富士合同テストではクルマに慣れていけたかなと感じていました。

ただ、慣れていても他の部分で難しいポイントはあるので、もっと手足のように操れなきゃいけないなとずっと思いながら走っています。

──前回、第6戦鈴鹿でスーパーフォーミュラ初優勝を遂げましたが、優勝してからなにか気持ちの変化はありましたか?
大湯:それまでに自分が納得できるようなレースがずっとできてなくて、自分のパフォーマンスをしっかり出せていないことが何より苦しくて。第6戦の優勝の喜びは今もありますけど、それ以上にまず、自分のパフォーマンスを出しきれたと思えるレースができたというところが嬉しかったですね。きちんと次へのステップを踏めたなと思っています。

──スーパーフォーミュラにはさまざまなドライバーが参戦していますが、気になるドライバーはいますか?
大湯:やっぱり、サッシャ選手は昨年F3でも一緒に戦ってきたライバルなので、同じルーキーのサッシャ選手よりは自分のパフォーマンスを示したいな、とは思ってやってきました。去年のF3で彼はチャンピオンを獲って、僕は残念ながら年間ランキング4位という成績だったので、本当にそのときよりは自分の方がパフォーマンスを出せる、ということ証明したかったですね。そういった意味では第6戦で優勝できたのでよかったなと思います。でも、シーズンはまだ終わっていないので、富士でも結果を出して最終的にもっと上の順位で終われるように頑張りたいですね。

──ベテランドライバーたちにはどんなイメージを持っていますか?
大湯:どの方々も雲の上の存在でした。同じホンダの先輩の山本尚貴選手や野尻智紀選手は僕がSRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)で生徒だったときから講師として来られて、いろいろと教えて下さった先生でもあったので、そういう方たちと走れる喜びもありますが、その方たちと一緒にちゃんと走れるのかという不安も常にあります。

先輩方が走っているなかで、自分もいいレースができるように、毎戦どのレースも常に先輩方の走りを見て研究しています。自分とは何が違うのか、どういうことをしているかというのは常に見ています。

──将来的にどんなドライバーになりたいですか、F1ドライバーにたとえて教えてください。
大湯:ドライビングで尊敬しているのはロバート・クビサです。ちょっと間違えればコースアウトだったり、クラッシュしてしまうようなギリギリの戦いを常にしているドライバーだと思います。マシンのコントロールだったり、常にクリップの限界ギリギリのところを走っているので尊敬していますね。怪我とかブランクがあって昨年レギュラードライバーに復帰した際はうまくいっていなかったようですけど、BMWザウバーやルノーで走っていたときは本当にすごかったと、当時から思っていました。怪我がなければ、もっとすごいドライバーになっていんだろうと思いますね。

現役ドライバーのなかではキミ・ライコネン選手ですね。あの年齢(41歳)であの判断力、走りができ、速さという意味でももちろん申し分ないと思います。僕と同じ雪国育ちというところもあるのか(大湯選手は北海道出身)、コントロール技術もずば抜けていますし、いろいろなカテゴリーでも乗っていますよね。人間性としても好きで、すべての部分で尊敬していますね。

──大湯選手と同期でFIA-F4でも戦った角田裕毅選手についてお聞きします。先日(インタビュー3日前)のスーパーフォーミュラ第5戦鈴鹿の夜に行われたFIA-F2第12戦フィーチャーレースで優勝するなど、角田選手は今季のF2でランキング3位となりましたが、大湯選手は何か刺激を受けたりもしましたか?
大湯:もちろん彼のことは応援していますし、F1行きのチケットというか、それを見合うドライバーだということを証明したことは本当にすごいことですし、おめでとうという気持ちです。ただその一方で、カテゴリーは別ですけど、自分は鈴鹿の第5戦では結果が出せていないというところで凄くモヤモヤしていました。

彼の活躍を見て、自分もなんとか結果を出したいという気持ちがありました。ただ、今季は気張った結果、レースで接触してしまったレースもあったので、あまり気張りすぎても良くないかなとか、かといって落ち着きすぎるのも良くないのかなとか、いろいろと考えました。そういう意味で彼の存在は刺激になっていましたね。

──優勝したSF第6戦決勝後の会見で「寝る時間を惜しんで考えて臨んだ」という話をしていましたけど、初優勝後の夜は安眠できましたか?
大湯:
優勝した夜はみなさんからたくさんのお祝いのメッセージやお電話を頂きました。なにより優勝、ようやく自分のパフォーマンスを出せたというところで、アドレナリンがずっと出ていて、あまり眠れませんでしたね(笑)。

──最終戦の舞台は富士スピードウェイです。富士を攻略する上で、大事なことはなんですか?
大湯:
富士は何よりストレートが長いですし、そこで他のマシンとのポテンシャルの差が出ないようにセットアップを進めていかなければいけないです。あと、ストレートのスピードも大事ですがテクニカルなセクター3でもポテンシャルの高いマシンにしていくために、きちんとチームと一緒に考えてます。あとは、OTS(オーバーテイクシステム)の使い方もストレートに対してどこで使うのか。ホームストレートで使うのか300Rで使うのかとか、駆け引きの部分が肝になってくるのではないかと思っています。

──前例のない12月中旬の最終戦は気温も低いなかでのレースとなりそうですが、どういった点を気をつけますか?
大湯:
タイヤの面ではウォーマーがなかったら本当にどうなることやらという感じだったのですけど、ウォーマーがあるのでまだ大丈夫かなと思います。でも、第6戦もそうでしたけどレース中、セーフティカーが出てしまうとセーフティカーラン中にタイヤが一気に冷えてしまうので、セーフティカー中でもタイヤの温度管理をしっかりと行うことがポイントになると思います。あとは、寒くてタイムが出やすい大会になると思うので、去年とかのデータとか、セットアップのまま持ち込んでしまうと、コンディションに合わないという状況になってしまうので、そこら辺はチームと一緒に考えていきます。

2020年スーパーフォーミュラ第5&6戦鈴鹿
大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)


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