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投稿日: 2022.04.02 11:07
更新日: 2022.04.05 13:56

【2022年スーパーフォーミュラ見どころ紹介】タイトル争いは役者ぞろいの混戦模様か。2レース制もカギに

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スーパーフォーミュラ | 【2022年スーパーフォーミュラ見どころ紹介】タイトル争いは役者ぞろいの混戦模様か。2レース制もカギに

 日本最高峰のフォーミュラレース、全日本スーパーフォーミュラ選手権の2022年シーズンが、いよいよ富士スピードウェイでの第1・2戦で幕を開ける。今季はさまざまな面で“変化の年”となりそうな同シリーズだが、その象徴とも言える『1ウイーク2レース制』のフォーマットが、いきなり開幕ラウンドから採用されることになる。

 ここでは2022年のスーパーフォーミュラ選手権の概要や昨年からの変更点、エントリーリストやシーズン展望などをお届けする。

■2レース制含む全10戦。全戦でポイントが有効に

 シリーズは昨年、『SUPER FORMULA NEXT 50(スーパーフォーミュラ・ネクスト・ゴー)』というテーマを掲げ、「50年後もモータースポーツ業界がサステナブルである」ことを目指したさまざまな施策を打ち出していくとし、2022年を“実験の年”と位置づけている。

 これに応じた実際のレースイベントにおける大きな変化としては、全7大会中3大会で1ウイーク2レース制を実施することが挙げられる。これにより、シーズンは全10戦(レース)で争われることになった。

■2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権 スケジュール

Round Date Circuit Distance Start Time
1 4月9日(土) 富士スピードウェイ 187.083km 14:30
2 4月10日(日) 富士スピードウェイ 187.083km 14:30
3 4月23日(土)〜24日(日) 鈴鹿サーキット(2&4) 180.017km 14:30
4 5月21日(土)〜22日(日) オートポリス(2&4) 196.308km 14:30
5 6月18日(土)〜19日(日) スポーツランドSUGO 190.058km 14:30
6 7月16日(土)〜17日(日) 富士スピードウェイ 187.083km 14:30
7 8月20日(土) モビリティリゾートもてぎ 177.637km 14:30
8 8月21日(日) モビリティリゾートもてぎ 177.637km 14:30
9 10月29日(土) 鈴鹿サーキット 180.017km 14:30
10 10月30日(日) 鈴鹿サーキット 180.017km 14:30

 昨年まで2レース制の際はそれぞれのレースで通常の半分のポイントが与えられていたが、2022年はそれぞれのレースで通常と同じポイントが付与される。また、有効ポイント制が廃止され、全10戦すべてのポイント合計で選手権が決するシンプルな形となった。

 各レースにおける点数配分は、予選が首位から順に3-2-1ポイント、決勝では1位から順に20-15-11-8-6-5-4-3-2-1ポイントと、従来と変わらない。

 昨年までQ1〜Q3までの3セッション制を採っていた予選フォーマットは、今季はQ1、Q2の2セッション制へと改められた。

 1レース制の週末はこれまでどおり90分のフリープラクティス1と予選を土曜日に行い、日曜は30分間のフリープラクティス2、決勝を行うフォーマットとなる。

 2レース制の週末は金曜日に90分間の専有走行を行い、土曜・日曜は午前中に予選、午後に決勝という流れが両日繰り返される。決勝スタート時刻は全イベント14時30分で固定された。

 なお、決勝はいずれのフォーマットの場合でも給油禁止、そしてタイヤ交換義務ありというルールで行われる。

2022スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
2022スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)

 ハード面では、引き続きダラーラSF19シャシーを継続使用するが、昨年は年間1基だったエンジン使用基数が、今季は2基へと改められている。また、後述するとおりヨコハマが供給するワンメイクタイヤの仕様が変更された。なお、燃料流量リストリクターを使用したオーバーテイクシステム(OTS)は、2021年同様、トータル200秒間をドライバーが任意のタイミングで使用できる。

 これらフォーマットやルールの変更点をまとめると、次のようになる。

■スーパーフォーミュラ 2022/2021シーズン比較

項目 2022 2021
レース数 10 7
予選フォーマット Q1/Q2 Q1/Q2/Q3
2レース開催時のポイント フルポイント ハーフポイント
有効ポイントレース数 全戦 5戦
使用可能エンジン基数 2 1

 また、車両の主要諸元は以下のとおりだ。

■SF19主要諸元

シャシー
製作 ダラーラ・オートモービル(イタリア)
全長 5,233mm
ホイールベース 3,115mm
全幅 1,910mm
全高 960mm
最低重量 670kg(ドライバー搭乗時)
ギアボックス リカルド 前進6速、パドルシステム
ブレーキ ブレンボ キャリパー、ブレンボ カーボン製ディスク
ステアリングシステム KYB 電動パワーステアリングシステム
フロントサスペンション形式 プッシュロッド、トーションバースプリング
リアサスペンション形式 プッシュロッド
安全基準 FIA 2016/17 F1規定に基づく
タイヤ 横浜ゴム株式会社 F:270/620 R13 R:360/620 R13
エンジン
メーカー/製造元/型式 本田技研工業/M-TEC製/HR-417E トヨタ自動車/TRD製/TRD 01F
排気量 2,000cc
仕様 直列4気筒、ダイレクトインジェクション
過給器 ターボチャージャー(ギャレット製)
最低重量 85kg
制限 405kw(550ps)以上
出力規制 燃料リストリクターによる燃料流量制限

■注目のルーキーと移籍組

 2022年のスーパーフォーミュラには、12チームから21人のドライバーがエントリーしている。

 新たに加わるチーム/ドライバーを整理すると、まず昨年までTEAM MUGENとタッグを組んでいたTEAM GOHが独立したチームとなり、ルーキードライバー2名のフレッシュな顔ぶれで参戦する。

 ドライバーは2021年のスーパーフォーミュラ・ライツでランキング3位と4位に入ったふたりで、レッドブルカラーとなる53号車は佐藤蓮が、そして55号車では三宅淳詞がステアリングを握る。

 昨年代役としてデビューし、初優勝も飾ったジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)は、今季フル参戦初年度を迎える。スーパーGTでもGT500へのステップアップが決まっており、両トップカテゴリーでどんな走りを見せてくれるか、注目が集まる。

 同じくコロナ禍における代役参戦経験を持つ笹原右京は、昨年チャンピオン野尻智紀のチームメイトとしてTEAM MUGENからフル参戦を果たす。速さに定評のある笹原だけに、野尻との2台体制となるTEAM MUGENは他陣営にとって手強い存在となりそうだ。

 チーム移籍という面では、昨年初優勝を含む2勝を挙げランキング2位となった福住仁嶺が、ThreeBond Drago CORSEから参戦することに。「まずはチーム初勝利を」と新たな環境に飛び込んだ福住がどれほどのパフォーマンスを見せられるのか、注目だ。

 また、昨年福住が参戦していたDOCOMO TEAM DANDELION RACINGには、昨年Red Bull MUGEN Team Gohで初優勝を遂げた大津弘樹が移籍加入している。

 なお、現在のところコロナ禍の入国規制も昨年までに比べて緩和されており、これが続けばWEC世界耐久選手権にも参戦する小林可夢偉(KCMG)、平川亮(carenex TEAM IMPUL)は、ともにフル参戦が叶いそうな状況だ。実際、WEC開幕戦の4日後に行われた富士公式合同テストにも、ふたりは参加することができている。

■2022全日本スーパーフォーミュラ選手権 エントリーリスト

No. Driver Team Engine
1 野尻智紀 TEAM MUGEN HONDA/M-TEC HR-417E
15 笹原右京 TEAM MUGEN HONDA/M-TEC HR-417E
3 山下健太 KONDO RACING TOYOTA/TRD 01F
4 S.フェネストラズ KONDO RACING TOYOTA/TRD 01F
5 牧野任祐 DOCOMO TEAM DANDELION RACING HONDA/M-TEC HR-417E
6 大津弘樹 DOCOMO TEAM DANDELION RACING HONDA/M-TEC HR-417E
7 小林可夢偉 KCMG TOYOTA/TRD 01F
18 国本雄資 KCMG TOYOTA/TRD 01F
12 福住仁嶺 ThreeBond Drago CORSE HONDA/M-TEC HR-417E
14 大嶋和也 docomo business ROOKIE TOYOTA/TRD 01F
19 関口雄飛 carenex TEAM IMPUL TOYOTA/TRD 01F
20 平川亮 carenex TEAM IMPUL TOYOTA/TRD 01F
36 G.アレジ Kuo VANTELIN TEAM TOM’S TOYOTA/TRD 01F
37 宮田莉朋 Kuo VANTELIN TEAM TOM’S TOYOTA/TRD 01F
38 坪井翔 P.MU/CERUMO・INGING TOYOTA/TRD 01F
39 阪口晴南 P.MU/CERUMO・INGING TOYOTA/TRD 01F
50 松下信治 B-Max Racing Team HONDA/M-TEC HR-417E
53 佐藤蓮 TEAM GOH HONDA/M-TEC HR-417E
55 三宅淳詞 TEAM GOH HONDA/M-TEC HR-417E
64 山本尚貴 TCS NAKAJIMA RACING HONDA/M-TEC HR-417E
65 大湯都史樹 TCS NAKAJIMA RACING HONDA/M-TEC HR-417E

2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 佐藤蓮(TEAM GOH)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 佐藤蓮(TEAM GOH)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 笹原右京(TEAM MUGEN)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 笹原右京(TEAM MUGEN)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2022スーパーフォーミュラ富士合同テスト 平川亮(carenex TEAM IMPUL)

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