エンジンを中心として長年トヨタのエンジニアを務めてきた永井氏は、これまでのスーパーフォーミュラのシャシーの変遷について、「実は、エンジンだけでなく、自分はSF09からクルマの開発にも携わってきたのですが、その反省が生きています」と述懐する。その反省とは、具体的に何だったのだろうか。

「失敗がいっぱいあるんです、ハッキリ言うと。SF09の時の失敗は、重量が重くなってしまって、重量コントロールができなかったし、ダウンフォースの出方が唐突でした。ダウンフォースの絶対量にこだわったことで、速いけれども、ドライバーにとって決して乗っていて楽しいクルマではなかったんです。それはやっぱり、企画が甘かったんですね」

「その大反省が生きたのがSF14。根本に返って『フォーミュラって何なのか。クイック&ライトでしょう?』と。ドライバーが意のままに操れるクルマでしょう、と」

「自分が09の時に最大のショックを受けたのは、若いF3のドライバーが『別にSF09には乗りたくない』と言ったことなんです。普通ドライバーはステップアップしたがるじゃないですか。でも、『別に乗りたくない』と。それはもの凄く衝撃でした。自分たちが携わったクルマに乗りたくないって言われたら悲しいじゃないですか。そんなクルマを作るのに参画してしまった自分は、何を間違ったのかなって、すごく反省しました」

 この“失敗”により、「やっぱり基本としてドライバーに運転したいと思わせるクルマじゃないと、見ているお客さんも楽しくないんですよ」という認識に至ったという。

「それでみんなでコンセプトから練り上げたのが、SF14です。そのSF14にもすごく良かった点と足りなかった点がありました。ひとりで乗っている分にはすごく楽しいんです。でも、レースをする時には、やっぱり後ろに付けない。軽いですし、ひとりで走るには大正解なんですけど、レースするクルマとして見た時には足りない面があった」

「SF19に関してはデルタ的に動きましたし、ドライバーが『乗りたい』というクルマにできたのは大きなステップでしたね。そういう風にいろいろなクルマを見てきた中で、フォーミュラのあるべき姿というのはどうなのかなと考えて行くと、今回のクルマはだいぶ理想のフォーミュラに近づいたんじゃないかなと思います。まだ100%ではないんですけどね」

「環境を別にしても、音だったり、もっと軽くとか、やり残しはあります。時間とお金が許すのであればですけど(笑)、究極はまだまだ。でも、だいぶ理想の形には近づいたというか、大きくステップで動いた。まだテストだけですけど、バトルができて、さらにドライバーの腕がオーバーテイクでも発揮できるっていうのは、こういうクルマなのかなと思います」

 次世代車両がいつから正式導入されるのか、そしてどんなレースを見せてくれるのか。引き続き、注目していきたい。

新空力パッケージを装着した2台のスーパーフォーミュラ開発テスト車両と、テクニカルアドバイザーを務める永井洋治氏
新空力パッケージを装着した2台のスーパーフォーミュラ開発テスト車両と、テクニカルアドバイザーを務める永井洋治氏

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