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投稿日: 2023.04.09 22:43
更新日: 2023.04.10 18:59

「Q2も10分でいいのでは」「認識かコミュニケーションかの誤りが」「恩返しができた」【SF Mix Voices 第2戦(1)】

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スーパーフォーミュラ | 「Q2も10分でいいのでは」「認識かコミュニケーションかの誤りが」「恩返しができた」【SF Mix Voices 第2戦(1)】

 全日本スーパーフォーミュラ選手権は4月9日、静岡県の富士スピードウェイで2023年第2戦の予選・決勝が行われ、前年王者の野尻智紀(TEAM MUGEN)が今シーズン初優勝を飾った。

 決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、予選と決勝を戦い終えたドライバーたちの声を2回に分けてお届けする(後編はこちら)。

■平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 予選7番手/決勝21位

「予選は、昨日悪かったところを洗い出して、それを盛り込んで走りました」と語る平川。

「Q1で良くなかったところは、Q2で改善もできていて、ドライビングも良かったのですが、7番手でした。昨日は、うまくいかなくて7番手、今日は決まったなと思ったら7番手で。難しいなと思いましたね(苦笑)」

 得意の決勝に照準を絞りたかった平川だが、8分間のウォームアップに出走できず。ここから歯車が狂ってしまう。

「コンピュータ系のトラブルですね。昨日からちょっと出たりしていたのですけれど、ギヤとかクラッチがまったく動かなくなってしまって、発進もできない状況でした」

 グリッドへ向けた走行には間に合ったものの、チームはグリッド上でも修復を継続。そこでクラッチの確認をするため、車両を動かしたことが原因でペナルティを受けてしまう。

「コンピュータを交換した影響で、クラッチのバイトポイントが変わってしまったので、それの確認をしようとしました」

「ですが、そこに認識かコミュニケーションかの誤りがあったみたいで。僕らはクルマを動かしていいと思ったので、実際に動かして確認したのですけれど、それがいけなかったようです」

 これにより、レース序盤にして10秒のペナルティストップをすることになった平川は、セーフティカー(SC)中に他の全車がピットインする間にステイアウト、さらなるSC導入等での上位進出を待つ作戦へと切り替えた。

 だが、結果的にSCが入ることはなく、39周を終えてタイヤの交換義務を消化するもナットがうまくはまっていなかったために走行不能に。クルマをコース脇に止めるかたちとなり、21位でレースを終えた。

 次戦については、「鈴鹿はテストでは比較的よかったかなと思いますけど、野尻選手(TEAM MUGEN)も速かったので油断はできないですね」と野尻を警戒しつつも少し自信を見せた。

 ただ、ランキングトップとなった野尻との差には不安な思いもあるようで、「実際のところ、結構壁は高いなとは思っています」と心境を語る。

「今日も、予選でうまく決まったと思っていても、まだまだ届かないところもあります。そこは、頑張って諦めずに追求し続けるしかないかなと思います」

2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

■阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING) 予選8番手/決勝10位

 予選では第1戦に続いてQ2に進出し、土曜日と同じ8番手からのスタートとなった阪口。Q1では2番手と好タイムを刻んだものの、Q2ではタイムをうまく上げることができず、ほとんど同じタイムを記録して8番手となっていた。

「今回僕の車両には、タイムの上がりしろがなかったみたいですね。ただ、きっとそれには何か原因があるはず。そこは検証していきたいなと思います」

 スタートでは、第1戦でのストールの反省を活かし、好発進を決めた。だが、その後入ったSC中に前の車両から5車身以上の間隔を空けたことが原因で5秒のタイムペナルティを受け、結果的には10位でフィニッシュ。順位は落としてしまったものの、昨日逃したポイントを獲得する結果となった。

「スタートが良かったのは非常にポジティブなことだと思います。トヨタ勢の中では一番良いんじゃないかというくらいの感触でした」

 SC中のペナルティについては、「ペナルティを受けた以上は、そこは反省すべきところだと思います」と悔しさを見せた。

「(チームとしては)ダブルピットの作戦を取るしかなくて、(前との車間距離を)空けるしかなかったですね」

 決勝でのペースについても課題があるようで、「同じ集団にいた選手に比べて、セクター3で詰めきれない感じがあって、あまりチャンスがなかったですね」と言う。

 今回は予選決勝ともに課題があると認めるが、昨シーズンよりも良いポジションを走れたことに、自身を含めチームのステップアップを実感しているようだ。

「(集団の中で走ることで)自分達が劣っているところを肌で感じることができましたし、やっと検証することができるという印象です」

「坪井(翔)選手が表彰台に乗ってくれたので、チームの士気も上がると思いますし、鈴鹿には、良いことしかないですね」

2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)
2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)

■福住仁嶺(ThreeBond Racing) 予選10番手/決勝7位

 第1戦決勝ではジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)とTGRコーナーでバトルの結果接触しリタイアとなった福住。第2戦予選では、第1戦から6ポジションアップとなる10番手となった。

 しかし、その予選ではトラフィックの影響を受け、3周のをウォームアップを2周に減らしてのアタックとなっていたという。

「残り時間を教えてもらって『それでは絶対に間に合わない』とチームに言いました」

「アタックできないクルマが他にいるかもしれないから、(タイヤが)温まっていなくても、ちゃんと走り切るべきだと思って。そこは自分でちゃんとうまく判断できたのかなと思います」

 福住は決勝ではさらにポジションを上げることに成功し、7位でフィニッシュ。ピットイン後には順位を下げてしまう場面もあったが、第1戦では取り逃がしてしまったポイントを獲得した。

「スタートは微妙だったのですが、位置取りも悪くなかったので結果的に9番手に上げることができました。ですが、SC中のピット作業でロスをしてしまいました」

「ですが、その後のスティントでは数台をかわして、平川選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がペナルティというのもあって7番手で今日のレースを終えることができました」

 第1戦では接触の影響でマシンを破損してしまったため、チームは夜遅くまで修復作業に追われていた。福住は、チームへの感謝の思いも口にする。

「結構夜遅くまで、チームが頑張ってクルマを修復してくれました。そのことへの恩返しができて、ひとまず安心しています」

 また、今季からチームには、SF23の開発ドライバーを務めた経験もある塚越広大がアドバイザーとして帯同している。福住自身、今日の結果にはその塚越の力添えの実感もあるようだ。

「(塚越の加入によって)コミュニケーションの幅も広がりますし、僕が思いつかないようなところでアドバイスをくれるので、助かっています」

「鈴鹿のテストの時には、今年厳しいかもな、とも正直感じていました。それまでは結構毎戦マシンをいじっていたので、その不安もあったのですけれど、今回ちゃんとポイントを取れる位置で走れていたというのはやってきたことに対するデータにもなりますし、悪くなかったかなと思います」

2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)予選12番手/決勝8位

 第1戦決勝では、接触・ペナルティのあった牧野。第2戦予選では、Q1・A組を5番手タイムで通過し、昨年から課題としているQ2でのポテンシャルアップに挑んだ。

 やや車両が集中した車列の後方でウォームアップを続けた牧野だったが、計測4周目でのアタックに入る前にチェッカーが振られるという、まさかの“時間切れ”に見舞われてしまう。

「まず、『間に合わないかも』という情報が(チームから)なくて。で、『ちょっとやばいかも』と自分で思い、(ウォームアップの)ペースを上げ、セクター3に入って間隔を開けてアタックに入ろう……としたらチェッカーだった、という」

 そのセクター3では、アタックラップに入ることを急ぐ小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が、牧野をオーバーテイクしていく場面もあった。

「あれは、可夢偉さんはもうアタックしているのかと思って、道を譲ったんです」と明かす牧野は、アタックラップに入ることができないという事態に「仕方ないですけど……ダメですよね」と憮然とする。

 12番グリッドから挑んだ決勝について聞くと、「とにかく、キツかったです」と声を絞り出した。

「中盤あたりが一番きつくて、1回(1分)26秒台まで落ちました。セクター3が昨日のロングでかなりきつかったので、そこに対していろいろと(セットを)変えておいたのですが、昨日余裕だったセクター2がアンダー出てきつくなったり、結局セクター3も大きな改善につながらなかったりと、ちょっと(上位勢とは)次元が違うところにいる気がします。いままでのダンデの良さだった予選の速さもない状況なので、かなり厳しいですね」

 2日間走ってのSF23の印象について聞くと、「まったく分からなくなりました、この富士で」とかなり“ハマって”しまっている状態のようだ。

「何が起きているのか正直分からない。いろいろとがちゃちゃいじってはいるのですが、それを低い次元のところでやっていても大きなゲインにならないと感じています。(第3戦)鈴鹿へ向けてはスパンが短すぎますけど、何かが少しでも良くなればいいなと思います。このままだと厳しいと思いますが」

2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

■山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING) 予選9番手/決勝15位

 8日の第1戦では10番手から表彰台目前の4位でチェッカーを受けた山本。第2戦に向けては予選からセットアップを変えて臨んだ。Q2進出を決めるも、予選は9番手と大幅なポジションアップは叶わず。

「バランスは良かったのですけど、そもそものグリップレベルがあまり高くなかったのかなという感じですね。もう少しレベルアップしないとまずいなという感じはしました」と山本。

 第1戦では5ポジションアップを決めた山本。しかし、前日の再現には至らず第2戦決勝は15位となり、2戦連続の入賞とはならなかった。

「スタートの加速自体はすごく良かったのですけど、他車の間をすり抜けていこうと思ったら前を塞がれてしまったのでブレーキを踏むことになりました。位置取りがうまくいかなかったこと、そして決勝に関してはそもそものペースが悪すぎて、少し厳しいですね。ストレートでまったくもってスピードが出なくて、富士ではストレートが遅いとレースにならないなと思いました」

 なお、山本は2021年より、スーパーフォーミュラに参戦するドライバーで構成される『フォーミュラ・レーシング・ドライバー・アソシエーション(FRDA)』の会長を務めている。FRDAは、ドライバーの立場から国内最高峰フォーミュラ、モータースポーツ全体の振興と安全に関して活動している組織だ。

 第2戦の予選Q2では数台がアタックに入る前(ウォームアップ走行中)に7分間のセッション終了を迎えるという事態が起きた。これについて、FRDAの会長である山本に対しさまざまなドライバーから意見の打ち上げがあったという。

「Q2に関しては一律で7分と決まっているのが現状です。でも、タイヤのコンパウンドや時期によっては計測2周目でアタックに入れる場合もあれば、アタックまで3周、4周かかる時期もあります。それらも総合的に踏まえると、7分という時間はアタックできずに終わるクルマが多くなりやすいのかもしれないです」

「それがドライコンディションでも起きるということは、さらにタイヤが温まりにくいウエットコンディションでは、さらにそういった状況が出てしまうと思います。なので、個人的にはQ1が10分なので、Q2も10分でいいのではないか、という気はしています」

 また、山本はQ2でアタックできずに終わる車両が出たもうひとつの原因を分析する。
 
「今はQ1(11台)よりもQ2(12台)の方が出走台数が多いというのが原因のひとつかなと思っています。やはり走る台数が少なければ、もう少し間隔を詰めていったり、ペースを上げて周回できますけど、Q2に12台もいると車間がどんどんと広がって、それで後ろにつけが回っている状況だと思います」

「速さを競って順位を付けるのがモータースポーツです。でも、自分の力を発揮できないままにセッションが終わるのは、ドライバーとしても、チームとしても、応援してくれるファンにとっても、見たい姿ではないと思います。みんながしっかりと力を出し切って、順位がつくようなルールにはしたいですね」

2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)
2023スーパーフォーミュラ第1戦&第2戦富士 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)


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