ゴールデンウイーク恒例のスーパーGT第2戦富士が、いよいよ明日から始まる。搬入日の富士で、GT500クラス各陣営の抱負を聞いた。開幕戦で不振に喘いだニッサン、そしてアクシデントが多発したホンダの両陣営にとっては、この富士が早くも今季の行く末を決める戦いになる。
■テストで好調ぶりを見せたNSXの焦点
まずは前回の第1戦岡山で全車5台がスロットル関連の電装系トラブルに見舞われてしまったNSX−GTのホンダ陣営。岡山の決勝では4台がコース上にストップしてしまったが、今回の富士では電装系パーツを過去の実績のあるパーツに交換しており、同じエンジン＆パーツで参戦した約1週間前のスーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿でも問題がなかったことから、「今回の富士では岡山の再現にはならないはず」と、チーム関係者も口をそろえる。
トラブルが去ったとは言え、NSX陣営で心配されているのがクルマのパフォーマンス。 「岡山で勝って40kgのウエイトハンデを搭載するKeePer TOM’S LC500と、どこまで競り合えるか」というのがNSX陣営の現実的な予想で、言い方を変えればレクサスの上位5台とはまだまだ差が大きいという認識でもある。
それでも、岡山戦後に行われたオートポリスでのGTタイヤテストではNSXは一発のタイムは良く、2日目にはRAYBRIG NSX−GTがトップタイムをマークしている。NSX陣営としては、今回の富士の予選でどこまでレクサスの間に入れるかが勝負どころとなる。決勝では500kmの長丁場で予選日、決勝日とも温かい天候が予想されていることから、これまでNSXを悩まし続けているタイヤのピックアップ、タイヤマネジメントが鍵になりそうだ。
■レクサス陣営内の熾烈な戦い。ひさびさ参戦の大輔
一方、2013年ぶりにGT富士での勝利をほぼ確実なものにしようとしているのが、レクサスLC500陣営。その中でも大本命は、陣営内でウエイトハンデの軽めなZENT CERUMO LC500とau TOM’S LC500の2台だ。それでもZENTの石浦宏明にとっては、それほど今回の富士を楽観的には感じていないようだ。
「本命とは言われていますが、ウエイトハンデの差はあるとは言え、レクサス6台はそんなに差がないと思っています。重いチームも、それなりに速いと思います。ですので、大本命と言われるほど甘くはないと思っていますし、自分たちがノーミスですべてを出し切らないと勝てないと思っています」と、石浦は気を引き締める。
レクサスのもう1台の本命、auは今回、WECスパ6時間に参戦する中嶋一貴の代役として伊藤大輔が参戦する。大輔はチャンスを自覚しながらも、搬入日にはリラックスした表情を見せた。
「まあ、やるべきことをやるだけですね。レクサスとしてLC500のホームでの勝利を飾りたい。まずレクサスとしてLC500を優勝させて、その中で自分たちがトップでゴールできるように頑張ります。クルマも順調に仕上がっているので、あとは実際に持ち込んだタイヤのマッチング次第ですけど、自信を持って挑めると思っています」と大輔。
選手としては開幕戦となるこの富士だが、気負いは見られない。
「気負いはないですね。今年はそもそもドライバーという立場よりも監督、チームとして、きちんといいポイントを獲らないといけないと思う方が大きいので、そういう意味では『大輔！ 今回ちゃんと走ってくれよ！』と思っています（笑）」
