「私の運が悪いのかな……」とレース後に肩を落とす、ホンダGTプロジェクトリーダーの佐伯昌浩エンジニア。予選でトップ3を独占し、レース序盤でもトップ4を占めながら、セーフティカーの不運で最終的な結果はARTA NSX-GTの5位が最高位。このSUGO戦にターゲットを絞ってきただけに、その落胆ぶりは大きい。
タラレバで言えば、レースで2周目にトップを奪って52周目まで首位をキープしたRAYBRIG NSX-GTは、ステアリングを握った山本尚貴が終始ラップタイムが速く、3度目のセーフティカーがなければ2番手に20秒以上の差を付けて圧勝していた計算になる。
「悔しくないわけがないです。それでも、クルマの速さは見せられましたし、あとは運があれば」とレース後にSUGO戦を振り返った山本。
佐伯GTプロジェクトリーダーも、「エンジンの開発者としては予選で速さを見せられて良かった面はありますが、やはりホンダとしてチームで参戦しているわけですから、今回の結果はマズイですよね」と、複雑な心境を明かす。
ホンダ陣営としてはKEIHIN NSX-GTが原因不明のリヤハッチアクシデントが起こり(留め金は締まっていたとのことで、チーム側のミスではないようだ)実質、戦線離脱。ポールを獲得したARTAの野尻智紀も16周目に単独スピンで順位を下げるなど、アクシデントに翻弄される内容となってしまった。
「スピンしてしまいましたが、野尻はその後のペースは素晴らしいかったですし、小林崇志も頑張っていた。100号車(RAYBRIG)も戦略でミスがあったわけではないですし、まあ、しょうがない。天候に振り回されましたね」
「まだ、ライバルがノーウエイトだったら負けている部分がありますが、このSUGOまでの3戦を経て、NSXのクルマはこう使うべきだよね、という足回りのセットアップがまとまってきた」
「エンジンに関してもドライバーからの不満は出ていませんが、それでもまだアンチラグの量を減らしたり、ドライバーが扱い易くなるよう制御面では引き続き開発をしています。今回のSUGOではクルマのポテンシャルも上がってきて十分、勝てるクルマになってきたというのは感じています」と、悔しいリザルトのなかでも、佐伯GTリーダーは成果を認めている。