14車種29チームがしのぎを削る2019年のスーパーGT300クラス。そのなかから1台をピックアップし、マシンのキャラクターや魅力をドライバー、関係者に聞いていく連載企画。2019年シーズン第5回目は、GT500でも勝利を挙げてきた名門KONDO RACINGとともに、GT300クラス参戦を果たした現行モデルとなる2018年型『ニッサンGT-RニスモGT3』をチョイス。新規参戦チームのエースを託された平峰一貴に、マシンのインプレッションを聞いた。
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GT300クラスへのデビュー以降、一貫してランボルギーニをドライブしてきた平峰は、この2019年から心機一転。近藤真彦監督率いるGT300新規参戦のKONDO RACINGに移籍し、現行型GT-R GT3のステアリングを握ることとなった。
その平峰は、JLOCから参戦したスーパーGTでの活動と並行して、スーパー耐久(S耐)では2016年からKONDO RACINGよりGT3カーで争われるST-Xクラスに参戦。初年度にはシリーズチャンピオンも獲得し、都合3シーズンにわたってチームやGT-Rとともに戦ってきた。
平峰がS耐で3シーズンをともにしたのはGT-Rは“15spec”と呼ばれる1世代前にあたる旧型モデルだったが、この2019年はGT300新規参戦のチームとともに“18spec”と呼ばれる現行型でシリーズを戦うことになった。同じGT-RニスモGT3ながら、性能面ではやはり大きく異なるフィーリングだという。
「15年型GT-RにはS耐で3年間乗らせてもらって、タイヤメーカーも2年間がヨコハマ、最後の1年がピレリでした。15年モデルは今の新型に比べると、全体的なバランスで言えばフロント周りで少しダウンフォースが少ない」
「ただ、メカニカルな部分での剛性はしっかりあって、うまくセットを合わせれば今でも非常に速いクルマです。変なクセもなく、しっかりとパワー感のある非常にいいクルマでした」
2012年登場の初代GT3モデルから数えて3度目の“エボ”となった現行の18specは、フロントバルクヘッド部分の剛性強化やサスペンション取り付け部やアームスパン見直しによるジオメトリーの最適化、エアロ刷新などの細かな改善に加えて、最大のトピックスとなったのがエンジンのドライサンプ化。これにより、車両重心を大幅に下げることに成功している。
「それに対応した足周りの変化によっても、15年型に比べて安定性が増してタイヤの接地感がリニアになって、より多くタイヤの接地面を使えているという風に感じています」
「あとは僕が一番この18年モデルに乗って感動したのはシフトです。ミッションも変わっているんですよ。それによって、15年型に比べてシフトアップもダウンもすごくスムーズなんです。とても感触がいい」
エンジンのドライサンプ化によるマウント位置の160mm引き下げに合わせて、リヤに位置するトランスアクスルのミッションもXトラックの横置き汎用品にスイッチ(同時にプロペラシャフトも変更)。これによりさらなる小型化と低マウント化が可能となった。
「15年型はちょっと(シフト時の作動)音もデカかったですけど、例えばドライバーがシフトダウンしてブレーキングに入った際に、シフトショックが大きいとやはりクルマの挙動は多少なりとも乱れてきます」
「それが何十周も続くと、例えばタイヤ無交換作戦を採りたいときでも、少しずつタイヤに負担が掛かっていくということにもなります。(18年型GT-Rは)そういう機械的な部分でも進化してて、かつドライバーの操作もしやすいのが強みです」