J SPORTSでスーパーGTのライブ中継のピットレポーターを務める竹内紫麻さん。中継だけでなくサーキットでのトークショーやトーク番組『GTV』のMCを担当するなど、さまざまな形でスーパーGTの魅力を伝える竹内さんに、ライブ中継や放送番組の舞台裏、そして竹内さんの取材スタンスについて聞いた。今年で3年目を迎える竹内さんの言葉とJ SPORTSのスーパーGT放送の表と裏を知れば、今年のスーパーGTを今まで以上に面白くなる。
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──J SPORTSでスーパーGTのピットレポーターを務めて今年で3年目、竹内さん自身、伝える立場として、手応えを感じてきた部分、慣れてきたと実感している部分はありますか。
「最初は選手や監督、メカニックのみなさん、エンジニアのみなさん、チームのみなさんとの関係性がないので、どこまで突っ込んでいいのかとか、どこまで聞いていいのか、どういうテンポ感で話を聞けばいいのか全然わからなかったのですけど、3年目になって関係性ができてきたなかで、みなさんに質問しやすくなって、質問を引き出しやすくなったというのはあると思います」
──竹内さんは競馬界でも活躍されていますが、競馬とモータースポーツの魅力として共通している部分はありますか。
「まず、仕組みがすごく似ていますよね。馬を動かす、クルマを動かすというところから、ドライバーとジョッキーが乗るというのもそうですし、レースでの監督は競馬では調教師、厩務員さんがメカニック、馬主さんがレースでいうスポンサーさんになるかな。そういった仕組みや一頭の馬、一台のクルマへの関わり方、関わる人たちのポジションも非常に似ていると思います」
──そのなかで、スーパーGTの魅力をどのように感じているのでしょうか?
「普通に言ってしまうと、クルマの音とか迫力なのですけど、スーパーGTを徐々に理解し始めた上で伝えたい魅力は、やはり人間模様やレース中に起こるドラマだと思います。1回の長いレースのなかでもドラマがものすごい数がありますし、ドライバーさん、メカニックさんやチームのみなさん、自動車メーカーにタイヤメーカーさん、みんなそれぞれの涙や、笑顔が詰め込まれている数時間になるので、そのレースの中に詰まったドラマが一番の魅力かなと思いますね」
──話は少し変わるのですが、竹内さんは去年、マニュアルの自動車免許を取得されましたよね。
「はい、取りました」
──ご自身でクルマに乗るようになって、スーパーGTのクルマについてや、ドライバーの難しさなどを感じることはありましたか?
「私のドライブはまだ1年くらいなので(笑)。でも、スーパーGTのように300km/hの速度でサーキットを走るのは考えられないというか、すごいなと思いますね」
──今時、マニュアルの免許を取った竹内さんもすごいと思うのですが……。
「由良拓也さんが『マニュアル免許を取ったら、レーシングカーに乗せてあげるよ』って言ってくれて、それを真に受けてマニュアル免許を取ったのですけど、レーシングカーに乗る機会はなかなか実現しません(笑)。普段はオートマですが乗っています。たまにマニュアルも乗ったりもしますけど、最近、初心者マークが取れたばかりなので」
──竹内さんがクルマを乗っていて楽しいと思う瞬間は、どのようなシチュエーションになりますか?
「夜の高速道路を走るのが好きですね(笑)」
──夜の首都高ですか!?
「はい、走っています(笑)。私は結構、いろいろと考えごとをしがちなタイプなのですけど、クルマに乗っているときは運転に集中できて、他のことを考えなくても済むので。ですので、友人とドライブに行くときも、自分から『運転したい!』と言って8時間とか運転するくらい、クルマを運転するのはすごく好きですね。別に上手とかではないですが(笑)」
──クルマに乗るのが好きというのは、好きこそ物の上手なれではないですが、今後、GTのレース中継でも役立ちそうですね。竹内さんはピットレポートの仕事とGTVなどのスタジオでのお仕事、同じレースを伝える仕事ですが自分の中でスタンスを切り替えたりしていますか?
「そこは全然違いますね。やはり生中継はレースの緊張感を伝えなくてはいけないですし、自分が意識しなくてもサーキット自体が緊張感に満ち溢れているじゃないですか。そこでレースでトラブルがあってチームのみなさんがイライラしているときとか、あまりインタビューに答えたくないときでも割り込んでいかなくてはいけないですし、怒られてでも何があったのかを聞き出さなくてはいけない。チームのみなさんも戦場だし、こちら側も戦場なのでふざけるというか、くだけるような雰囲気はゼロですね」
「逆にスタジオ収録のGTVはバラエティ番組ということもありますが、レースがひと段落して、レースの場所から離れて、みなさんの素顔が見えるようにあえてフランクにというか、プライベートなお話も聞きつつ、笑顔を引き出せるような場所だと思っています。ですので、私の表情とか姿勢、話を聞く感じも全然違うと思います。中継の時とは別人ですね。最近はそんなにないですけど、1年目とかは中継の時、緊張しすぎて毎回お腹が痛くなっていました」
──そんな緊張感のあるサーキットではテレビ中継だけではなく、竹内さんは日曜の決勝前に予選トップ3を獲得したドライバーのトークショーのMCも担当しています。日曜午前のあの短い時間のなか、ひとりで6人のドライバー(GT300,GT500の上位3チーム各1名参加)に話を聞くのは大変な仕事だと思うのですが……。
「あのトークショーはですね、最初は『トークショーがあるよ』くらいしか聞いていなかったんです。そこでほぼ全員、初対面くらいの6人のドライバーさんにレースのことをいろいろと聞かなくてはいけなくて、ひっちゃかめっちゃかになって『なんだこれは!?』と驚きました(笑)」
「最初はもう超辛くて。わからなくて。『しましま(竹内紫麻さんの愛称)だったらできるよね、ひとりで頑張って!』って言われて。そこから6人への質問内容は全部自分で考えているんです。ですので、日頃からSNSとかで選手のみなさんを全員フォローして、トークショーに来たら『最近は◯◯にハマっているのですよね?』と、話題を振れるようにチェックして、質問に活かせるネタを探しています」