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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.05.27 16:30

“凍結下でも可能”な車体開発。セクタータイムやロール量に見る3メーカーの個性【2021年GT500テクニカル分析2】

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スーパーGT | “凍結下でも可能”な車体開発。セクタータイムやロール量に見る3メーカーの個性【2021年GT500テクニカル分析2】

 コスト削減を目的とした開発凍結。2021年、スーパーGTのGT500クラスで2年目を迎えた『Class1+α規定』車(現『GT500規定』車)は、空力を含む車体に関して大きな変更を施すことは許されていない。

 しかし、「そんなことはありません」とHRD SakuraでNSX-GTの車体開発を担当する徃西友宏氏は言う。

「登録の必要がない部分、触っていい場所もクルマ全体で見るとかなりあります。部品点数比率とかでいうと、共通部品化されているところは除外しても、8割くらいは作り変えることができます」

「ただ、そのなかで性能への寄与が高いものや、本当にやる意味があるものを絞っていくと、実際にクルマに採用されるのは2割〜3割程度です」

「前まわりをもっと軽くしたかったので、フロントのカウルやバンパーは、去年と見た目は同じですが、カーボンの積層とかをいろいろ変えるなど、新しい作り方をしています。また、逆に重量が増えても強化したところもあります」

 いずれも外側からは見えない、あるいは見えにくい部分だが、パフォーマンスと信頼性を高めるための改善がしっかりと施されているのだ。

 とはいえ、運動性能の要であるエアロパーツを変更できない以上、共通シャシーを使う3車の基本的なキャラクターは昨年から大きくは変わらない。

 たとえば、ベース車のデビューがもっとも最近のGR Supraは、レーキ角をつける前提での車体設計がなされている。規定変更で獲得できるダウンフォース量が減り、それを取り戻すためにレーキをつける設計にしたのだろうと考えられていたが、「そうではありません」と、車両開発をとりまとめるTCD(TRD)の湯浅和基氏は言う。

「一番大きな理由は、LC500からGR Supraになり、車体で発生する空力の特性が若干変わったからで、レギュレーション変更によるものだけではありません。同じフロントの車高で走っているときに、リヤが上がったり下がったりするときのダウンフォースの出方が前とは違うので、コンセプトを変えざるを得なかったのです」

 GR Supraは、レーキ設定の自由度を広げることにより、各サーキットで最適なダウンフォースを得ようとしているのだろう。エアロパッケージを変更できないいま、レーキ角を強めてダウンフォースを増やすことはできても、空力付加物を減らしてドラッグを減らすことはできない。

 ラテラルダクトの形状に目を向ければ、GT-Rはエアを上方にはね上げる、ダウンフォースを重視した複雑でドラッギーなフィン形状となっている。また、NSXもダウンフォースを重視した造形だ。対するGR Supraは非常にシンプルな形で、ドラッグをなるべく増やさないコンセプトに思える。

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