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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.10.15 22:11
更新日: 2021.10.16 00:19

HOPPY team TSUCHIYA 2021スーパーGT第5戦SUGO レースレポート

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スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2021スーパーGT第5戦SUGO レースレポート

HOPPY team TSUCHIYA
レース結果報告書
2021 SUPER GT Rd.5
スポーツランドSUGO

■日時 2021年9月11〜12日
■車両名 HOPPY Porsche
■場所 スポーツランドSUGO
■ゼッケン 25
■監督 土屋武士
■ドライバー 松井孝允/佐藤公哉
■チーム HOPPY team TSUCHIYA
■リザルト 予選22位/決勝19位

若い力で苦境を乗り切れ

 ドライバーの松井孝允くん、佐藤公哉くん、トラックエンジニアの木野竜之介さん、それにメカニックのみんなもミスなくがんばってくれて予選22位、決勝19位でした。以上。

 こんにちは。ボクはホピ輔(本名HOPPY Porsche)です。ボクは去年からつちやエンジニアリングでお世話になりスーパーGTに参戦しています。今回初めてSUGOでの戦いを迎えました。ボクが苦手な高速コーナーが多い反面、レインボーコーナーとか最終コーナーとかトラクションが活かせる場所もあって、けっこういいレースができるのでは期待していたんですけど、冒頭に書いたような結果に終わってしまいました。だから、あんまり語るべきことがありません。

 最終コーナーの登り勾配がすごくきつく、ボクのギヤレシオだと微妙に合っていなくてシフトアップしたところでパワーバンドから外れてしまう。予選も選んだタイヤからすると涼しくて、フロント荷重の少ないボクだとウォームアップの部分でちょっと厳しいところもありました。

 レースでも公哉くんの前半スティントの最後、左リヤタイヤがバーストしたかと公哉くんが思うくらいに急激にグリップがなくなったのですけど、ピットインして孝允くんに交代してから、公哉くんがタイヤの『顔』をみたら、きれいに摩耗していて表面は何も問題なし。不思議な現象でした。

 孝允くんのスティントでは、これまでも問題になっていた集団走行が苦手という部分が強く出てしまいました。リヤエンジンでフロント荷重が少ないのを、レイクをつけてエアロで補っているのですけど、前のクルマにくっついて走るとそのフロントのダウンフォースが抜けてしまって、フロント荷重不足からアンダーステアになる症状がすごく厳しく出ました。孝允くんもドライビングでカバーする方法をいろいろ考えてくれましたけど、難しかったです。

2021スーパーGT第5戦SUGO HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2021スーパーGT第5戦SUGO HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)

 話はレースの話からいきなり変わって、去年そもそもボクがつちやエンジニアリングでお世話になることのきっかけは、先代ホピ子先輩の存在です。正確には、ホピ子先輩の目覚ましい活躍があったからこそ、ご縁が生まれたと言えます。

 トヨタ86MCとして生まれたホピ子先輩は、つちやエンジニアリングとともに2015 年からスーパーGTに参戦。2016年、2年目にしてチャンピオンを獲得しました(このときはまだHOPPYカラーじゃないから『ホピ子』じゃないですが)。パワーがなくて直線が遅い短所を補うために、車体の軽さを活かしたタイヤ無交換作戦を編み出して、これを武器に戦いました。

 でも、すでにGT300クラスの参戦車両は、ボクと同じFIA-GT3が中心になっていて、みんなボクよりももっと車重が重くて1300kg以上が普通。となると、その車重が負担になるからホピ子先輩みたいなタイヤ無交換作戦はやりたくてもできなくて、みんながホピ子先輩に向かって「自分だけずるい」と文句を言うようになりました。

 だったら同じFIA-GT3で戦ってやる。

 つちやエンジニアリング代表の土屋武士さんが決断して、ボクとの出会いが生まれました。車重が違えば、タイヤに求められるものも違うから、FIA-GT3用タイヤ開発を横浜ゴムの若いエンジニアといっしょに始めて、その彼がメキメキと成長するのに合わせて、GT3用のタイヤがどんどんよくなって、GT300で一番多いヨコハマユーザー全体が速くなりました。去年のチャンピオンもヨコハマだったしね。

 若い子の成長をサポートするのは、武士さんが一番好きだし得意な部分。でも、なんかその成長にボクだけ取り残されている感じです。結果、ボクとトップとのタイム差は変わっていないのに、その間に入ってくるクルマが増えて相対的な位置が下がってしまった。そんな感じです。

「すごくおいしい幅が狭いホピ子と、同じく狭いヨコハマタイヤを組み合わせてぎりぎりで走らせるのが得意だったつちやエンジニアリングだったけど、GT3用においしい幅が広いタイヤができて、GT3は幅が広いからみんな速くなった。タイヤ開発に貢献できたことはつちやエンジニアリングとしては誇りだけど、ある意味、自分で自分の首を締めている面があって、応援してくれているみなさんに申し訳ない」と武士監督。横では244 号車くんがタイトル争いしているのに……。

2021スーパーGT第5戦SUGO HOPPY  Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
2021スーパーGT第5戦SUGO HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)

 木野さん、どうやったらボクも速く走れるのかな?

「決勝に向けてもセットアップしていい方向にいきましたが、基本的なパフォーマンス不足がみえてしまいました。集団走行に弱いのも去年から課題にしている部分です。こうなると根本的な部分に立ち返って確認する必要があるかもしれませんね。クルマを一度バラして組み直すと問題が解決するのはよくあることです。外板をつけ直すことでエアロが本来の性能を発揮することだってあります。セットアップは相当やってきたので、そのレベルではない何かがありそうです。SUGO前に実施したオートポリスのタイヤメーカーテストが雨で1 日キャンセルされた分、もてぎで1日だけ追加テストがありますし、そこに向けて原因を探りたいと思います」

 すごく深刻な問題をボクは抱えているのでしょうか。心配です。武士監督もいっしょに考えてくれるのかなと思ったら「ボクは244号車のトラックエンジニアをやっていて、木野くんに任せているから、ホピ輔のことはよくわからないよ」と冷たい態度。

 みなさん、ひどいと思いませんか? でもそこにも武士監督としての考えがあるようです。

「予選が終わった段階で見直したほうがいいかなと感じたところが、そのとおりになった。今シーズンは前半に安定してポイントを獲れたのに中盤以降苦しい状況でももがいているね。木野くんとドライバーふたりに任せてながめているところもあって、ここでいろんな経験を積んでほしいと思っている。トラックエンジニアのやり方も、人それぞれにある。もちろんレース戦略の部分ではホピ輔のこともみるけども、エンジニアのメインは木野くんで、ボクはサポート。レース経験が多いおじさんの立場からすると、色々失敗して覚えていく段階にいるな、と。この苦しみが後の糧になるから、もっといろいろ失敗してほしいね。SUGOとか鈴鹿でホピ輔が苦しいのはわかりきっていたこと。今の性能調整だとポテンシャルを100%引き出して、ようやくそこそこのポジションにいけるくらいだと思うので、まずはそこにたどりつくことを残り3戦のテーマにして、どうやってこの苦境を乗り越えるか経験を積んでもらいたい」

「自分が手出ししたくなるのをぐっとこらえて任せるのも自分自身のチャレンジ。つちやエンジニアリングとして新しい時代をつくっていかなければいけない。みんなに成長してもらいたいし、みんなに自分たちが引っ張るんだという自覚を持ってやってもらいたい。チームには速いドライバーがいるだけでもダメだし、いいエンジニアだけがいてもダメ。コミュニケーションがすごく大事。木野くんなんて、ボクからしたら新種だし、まったく違う畑で育っていてアプローチが違うから、そこはある意味で楽しみだね。でもトラックエンジニアとしたらすごいポテンシャルを持っている赤ちゃんってとこかな。ボクはやっとひとりで立てるようになったくらいだけど(笑)」

 どうやら組織としての成長を武士監督は今シーズンのテーマにしているみたいです。「去年は富士、もてぎ、鈴鹿と3コースしかやっていない。だからちょっと思い違いがあったかもしれない」。武士監督のこのコメントにヒントがあるのかな。ボクも協力してこの苦境を脱出したいと思います。

■松井孝允のコメント

「この週末でセットアップのプラスの部分とマイナスの部分もみえてよかったんですけど、結果が出ていないのでそこは伝わらないですよね。これをまとめて結果に結びつけることができないと、今後スーパーGTでチャンピオンを狙うこともできません。自分自身が成長するためにも、もっと突き詰めていかないと足りないと思います。データを見直すだけでなく、シミュレーターにセッティングデータを入れてうまく活用したいです。どこまで実走を再現できるかわかりませんが、走行時間が少ないなか、やらないよりはやったほうがいいはず。できる限りのことに取り組んでいきます」

■佐藤公哉のコメント

「想像していたよりきつい週末でした。途中のペースはまわりといっしょくらいでしたが、ピットに入る10周前くらいから、左リヤに『ガケ』がきてしまいました。普通に走れないくらいのグリップ低下で、ブレーキングでもまっすぐ止まれないくらいでした。ここで失ったタイムももったいなかった。ボク自身、ポジションをキープするためとか、前を追い抜くためにリヤタイヤを使った面はあるんですけど、最後のあの感じは奇妙でした。日頃からもっとポルシェのことを考えて生きるようにします」

■土屋武士監督のコメント

「前戦の鈴鹿と同様、いえ、それ以上に今回の菅生は苦しいラウンドになってしまいました。ただ今回のレースには大きな収穫がありました。これは具体的にはお話しできないんですが、今後、我々がチームとして戦う上で『必ず通らなければならない道』という感覚でとらえています。応援頂いているみなさんに、結果でのお返しができないこと、本当に申し訳なく思っています。この苦しみの先に必ず皆さんが喜んで頂ける結果が待っていると信じて、チーム一丸となってしっかりと残りのレースを戦っていきます。引き続き、応援よろしくお願い致します!」

2021スーパーGT第5戦SUGO 松井孝允/佐藤公哉(HOPPY Porsche)
2021スーパーGT第5戦SUGO 松井孝允/佐藤公哉(HOPPY Porsche)
2021スーパーGT第5戦SUGO HOPPY team TSUCHIYA
2021スーパーGT第5戦SUGO HOPPY team TSUCHIYA


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