13日、千葉県幕張メッセで開幕した東京オートサロン2012に展示され、世界に公開されたトヨタ・プリウスのスーパーGT300仕様。ハイブリッドカーとして世界でも高いセールスを誇るプリウスのレーシングカーは、どんな中身なのだろうか?

 東京オートサロンで公開されたプリウスGT300は、おなじみのプリウスのボディに、スーパーGTのトレンドとも言える空力を採用。スーパーGTマシンらしいスタイリングとなった。製作したaprは、2009年にトヨタ・カローラアクシオをベースとしてスーパーGT車両を開発しているが、そのアクシオと同様エンジンはミッドシップに搭載され、ルーフにはインテークを備える。

 なぜレースのイメージが強くないプリウスでスーパーGT車両を開発したのか? という問いに対し、ドライバーに決定した嵯峨宏紀は、「aprとして次期マシンを選定する時に、当然トヨタ86という案もあったけど、レーシングカーという部分では今までと変わらない。新技術に挑戦するという意味で、プリウスにしてみたかった」と語る。

 今回のプリウスには当然ハイブリッドシステムが備わり、リヤブレーキには通常のAP製のレーシングキャリパーに加え、回生エネルギーを生むキャリパーが装着されている。重量物となるバッテリーは、バランスを考慮し助手席の位置に置かれ、電気モーターはトランスミッションの後方に位置している。

 このハイブリッドシステムについては、なんと市販車のプリウスと同じパーツが使用されているという。これは、トヨタが今後見据えている“スポーツハイブリッド”という活用法に向けてのベースとして考えているようで、ふだん市販車では燃費を向上させるためにハイブリッドを使うが、エクストラのパワーとしてハイブリッドを使う考え方も検討されているようだ。

「たとえば1時間半のレースで、市販車のプリウスのように燃費面で向上させることもできますし、F1のKERSのように、スクランブルでの使い方もできる。そこもハイブリッドのいいところだと思います」と嵯峨。

 しかし、今回展示されたプリウスGT300については、まだまだレーシングカーならではの課題も山積しているようだ。すでに、先代のアクシオにバッテリーとモーターを積んだ状態でテストを行っているが、「今はまだ転がすことができた程度で、まだ全然レースができる段階じゃない」と嵯峨は語る。燃費面でハイブリッドを使ったらいいのか、エクストラのパワーとしてハイブリッドを使ったらいいのかという面についても、まだまだ決めることができていないという。

「動かすためにはまだやることが多いし、ウエイトが重いですからね。まだまだ未知数な部分も多いし、これから作っていかないといけない」と語るのはマシンを製作したaprの金曽裕人代表。

「システムもこれからトヨタの人と作っていきますけど、彼らは本当にすごいと思います。日本の最先端の技術を作った人たちですからね。それに、誰もやったことがないシステムですからね。未知への挑戦です」

 重さを少しでも軽減したいレーシングカーにとって、ハイブリッドシステムは重い“足かせ”にもなり得る。果たして今後、プリウスGT300がどんな成長を遂げていくのだろうか……? オフのテスト、そして2012年シーズンに注目したいところだ。

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