■地球環境との共存に向けて、加速するAudiの電動化戦略
「2026年、Audiが発売する新型車はすべて電気自動車に。内燃機関を搭載したモデルの生産は2033年をもって終了する」
クルマが地球環境と共存していく上で温暖化に影響を及ぼすCO2の削減が急務とされている。内燃機関がもたらす音や回転の高まりとともにみなぎるパワーなど、クルマと一体となり、感情を昂ぶらせる高揚感を味わい尽くしてきた私たちとしては、「ついにそんな日がやってくるのか……」と、複雑な思いでその発言を受け止めたのも事実だ。
クルマが電動化すると味気ない移動手段になってしまうのではないか、と怖れる気持ちもあった。ところが、ここ数年で急速に増えつつある国内外の電動化モデルのハンドルを握ってみると、環境や意識が変化するにつれて、「私たちがクルマを受けとめる価値観は大きく変わっていくのではないか?」と思うようになってきた。
改めて、時代が変化していくスピードにおののきつつも、すでに世界規模で推し進められているカーボンニュートラルの動きは、もはやなかったことにはできない段階に来ている。
カーボンニュートラルは、あくまでも電気自動車化することが目的ではなく、クルマのライフサイクルを通して様々な手段で炭素低減に繋げていくことが目的であって、答えはひとつでないのが面白い。
その点では「Future Is An Attitude.(=未来は考え方ひとつ)」と語るAudiの言葉は、自動車メーカーとして新たな時代に挑んでいくチャレンジングスピリットを感じさせる言葉といえる。
各メーカーが続々と電気自動車をリリースしているなか、Audi初の電気自動車として2020年に日本に上陸したのが『Audi e-tron Sportback』である。その後、2021年には『Audi e-tron』の発売も開始され、ふたつのSUVタイプのEVが登場した。Audiにとって『Audi e-tron』は、100%の電気自動車を示している。
乗員がくつろげる広めのキャビンや十分な荷室を備えた実用的なパッケージングは、幅広い層に受け容れられ、2020年にはEVが新車販売の50%以上を占めるノルウェーで最も売れたEVの座を手にした。