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クルマ ニュース

投稿日: 2022.12.20 16:20
更新日: 2022.12.20 16:23

ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVの大賞で時代は変わるかもしれない【世良耕太が2022-23日本カー・オブ・ザ・イヤーを振り返る】

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クルマ | ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVの大賞で時代は変わるかもしれない【世良耕太が2022-23日本カー・オブ・ザ・イヤーを振り返る】

 『2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー』がニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVに決定した。ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVは『K CARオブ・ザ・イヤー』も受賞しており、ダブル受賞となった。日産自動車は2021-2022のノート・シリーズに続き2年連続の受賞。軽自動車がいわゆる“本賞”を受賞するのは、43回を数える日本カー・オブ・ザ・イヤーの歴史のなかで初めてである。

 日本カー・オブ・ザ・イヤーは、筆者を含む60名の選考委員による投票の結果、まず“10ベストカー”が選出される。今期、48台のノミネート車のなかから選ばれたのは次の11台だ(ノミネート順。10位が同点だったため11台となった)。本賞は10ベストカーのなかから、各部門賞はノミネートされた48台のなかから選出される。

■2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー“10ベストカー”


スズキ・アルト
トヨタ・クラウン
ニッサン・エクストレイル
ニッサン/ミツビシ サクラ/eKクロスEV
ニッサン・フェアレディZ
ホンダ・シビックe:HEV/シビック・タイプR
マツダCX-60 e-SKYACTIV D
BMW iX
ヒョンデ IONIQ 5
ランドローバー・レンジローバー
ルノー・アルカナ

■2022年は“BEV元年”。サクラ/eKクロスEV登場のインパクトの高さ

 11台のうち3台をニッサンが占めているのが目を惹く。新車の投入が集中したのもあるが、数の多さと評価の高さは比例するとは限らないので、それぞれ評価に値する価値を備えていたということだ。また、11台のうち電気自動車(BEV)が3台(ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEV、BMW iX、ヒョンデ IONIQ 5)を占めたのも、この1年のトレンドを反映していたと言える。

2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞:ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEV
2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞:ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEV

 ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVの受賞理由(部分)に、「現実的な車両価格でバッテリーEVを所有するハードルを下げ、日本でのバッテリーEV普及の可能性を高めた」とあるが、全面的に同意する。

 ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVは、軽自動車の使われ方に即して開発されたBEVだ。つまり、ロングドライブに軸足を置いてはおらず、買い物や通勤など、近距離を中心とした日常の足としての使われ方を想定している。

 日常の足としてクルマが欠かせない地方のユーザーに目を向けているのがニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVの特徴だ。地方であれば都市に比べて自宅に駐車スペースがあるケースが多く、充電器の設置に困らない。また地方では、ガソリンスタンドに行くのに往復何十キロも走らなければならない状況も生じているが、BEVなら、そうした不便が解消できる。

 エンジン車の場合、近距離の移動では触媒を暖機するだけで終わってしまい、そのぶん余計な燃料を消費するし、CO2排出量も増える。近距離移動に限定すれば、CO2排出の観点でもBEVは理に適った選択だ。

 モーターが提供する静粛性と応答性の高さが、快適性の高さと走りの楽しさにつながるのもポイント。何年か後に2022年を振り返ったとき、「ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVの登場をきっかけに時代は変わったね」と言われるかもしれない。それだけのインパクトがあるクルマだ。

■ホンダ・シビックe:HEV/シビック・タイプRを評価した理由

 と記しつつ、筆者が最高点を投じたのはホンダ・シビックe:HEV/シビック・タイプRだった。ニッサン・サクラ/ミツビシeKクロスEVの受賞は順当だと思うし、その価値と日本の自動車社会に対する影響力の大きさを評価していないわけではない。筆者があえてシビックに最高点を投じたのは、「ものすごくいいクルマなので、その存在を知ってほしい」という願いを込める意味合いからだ。

パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー:ホンダ・シビックe:HEV/シビック・タイプR
パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー:ホンダ・シビックe:HEV/シビック・タイプR

 選考委員による選考理由は、日本カー・オブ・ザ・イヤーの公式ホームページで確認できる。筆者のホンダ・シビックe:HEV/シビック・タイプRの選考理由(部分)は、「安心して運転でき、気持ち良く走り、乗り心地が良く、疲れない。e:HEVとタイプRで性格は異なるが、意のままに走る点は共通。今後登場するホンダ車の完成度の高さまで予感させる仕上がりを含め評価した」というものだ。

 e:HEVは史上最高のハイブリッド車だと思うし、日常走行の快適性を損なわずにサーキット走行までこなすタイプRのダイナミックレンジの広さは瞠目に値する。感心と感動の大きさから、シビックを推すことにした。


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