平川亮が驚いたF1マシンの速さとブレーキ。マクラーレンでのテストにはWECやSFの経験が活きる部分も
2024年シーズンはWEC世界耐久選手権への参戦と並行し、マクラーレンF1チームのリザーブドライバーを務める平川亮。WECとスケジュールが重ならないグランプリウイークは基本的にF1の現場に帯同しており、先日鈴鹿サーキットで行われたF1第4戦日本GPのパドックにも姿をみせていた。
リザーブドライバーである平川の主な役割は、レギュラードライバーであるランド・ノリス、オスカー・ピアストリに万が一のことがあった場合に代役を務めることであり、2023年10月にはスペイン・バルセロナで2021年型のMCL35Mをテスト。さらに2024年に入って2月にフランスのポール・リカール、3月にはイタリアのイモラで2022年型のMCL36の実車テストに臨んでいるほか、ファクトリーではシミュレーターにも何度か搭乗し、準備を進めている。
平川はWECをはじめ、スーパーGT GT500クラスや全日本スーパーフォーミュラ選手権といったさまざまなカテゴリーでのレース経験があるが、やはりF1ドライブとなると話は別。覚えなければいけないことや慣れる必要があることもたくさんあるという。そんな彼に、F1マシンをドライブする難しさを聞いた。
■レースドライバーを想定してテストを重ねる
「やはり速いですね」と、F1マシンをドライブした感想を開口一番に語った平川。
「何回乗っても、1周目とかピットから出てすぐのところは『速いな』と感じます。前回イモラで乗りましたけど、コース幅が狭くてグラベルも多いので、余計に『飛び出したら終わり』というオールドコースのような感じなので、余計に速く感じました」
その辺については、合計で3回テストをやってきたことで慣れてきている様子。「慣れてしまうと、そこまで問題ではなくて、実際にいいタイムを出せていますし、そこはチームからも良い評価をもらっています」と、実車テストの結果も上々のようだ。
そのなかで平川は「レースドライバーには『いかに早く適用できるか』とか『いろいろなコースに行って練習走行が限られ、少ない周回数でいかにやれるか』というのが大事なのですけど、その辺りはもうちょっと詰められるかなという気がしています」と、マクラーレンF1のリザーブドライバーとして、しっかりと課題に向き合っている姿勢も垣間見えた。
とはいえ、初めてのF1マシンドライブでは他のカテゴリーでは経験できない部分もあり、そこに対しては慣れが必要。難しさを感じる部分もあると平川は語る。
「もちろんパワーが凄いので、簡単に全開にできないという感じです。そこは走っていくなかで慣れるという感じ。すごく丁寧にスロットル操作をしないと、すぐホイールスピンしてしまうし、タイヤもすぐオーバーヒートして傷んでしまうので、そこはかなりシビアかなとは思います」
なかでも一番難しかった点について平川は「一番は……ブレーキですかね」と答えた。
「すごく止まるというか『止まっちゃう!』という感じ。そこを合わせるのがチャレンジングでした。今はだいぶ慣れましたけど、最初は正直ビビりました」
「たとえば鈴鹿とかだと、セクター1とかは走ると慣れるんですけど、シケインみたいに“キュッ”と止まるところから低速コーナーでダウンフォースもないのでグリップが急になくなってしまいます。そこに合わせていくのがすごく難しいです」