2017年F1第4戦ロシアGPは、メルセデスのバルテリ・ボッタスがセバスチャン・ベッテルとの一騎打ちを制してF1初優勝を飾った。ニッポンのF1のご意見番、今宮純氏がロシアGPを振り返り、その深層に迫る──。
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フィンランド国歌演奏のあいだ、バルテリ・ボッタスは表情を崩さないように表彰台でじっと我慢をしていた。涙がこぼれないように耐えている。やがて喜びが顔に満ちてきて、素晴らしい笑顔を彼は見せた。
セバスチャン・ベッテルとマッチレース0.617秒差、今シーズン序盤に新しい107人目GPウイナーが生まれた。
ほぼ1年前にスペインGPで106人目マックス・フェルスタッペン、彼もキミ・ライコネンとマッチレース0.616秒差。
二人ともフェラーリを駆るチャンピオンを抑える、クロス・フィニッシュ。“ドキドキ感”がつたわるドライバーズ・レースだった。
人工的なDRSによるオーバーテイクはなかった。戦略的なアンダーカットなどもない。スタートからゴールまでひたすらコース上でせめぎあうドライバーズ・レース、初対決ボッタスとベッテルは1時間28分08秒743、ずっとつらぬいた。
スタートダッシュしたボッタスは、1コーナーまでにベッテルの背後にすっぽり入り込み、十分なスリップストリーム効果を得た。そして左に出て増速。1コーナーの先で並び抜くとやや右に向け、2コーナーを理想的なラインで奪った。勝負は2コーナーではなく、その前のおよそ500m、PPベッテルにブロックするタイミングも隙も与えなかった。