レッドブルでエイドリアン・ニューウェイの片腕として車体開発部門を統括するピエール・ワシェに、レッドブル・ホンダの可能性について聞いた。
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──レッドブルとホンダが組むことが、正式に発表されました。
ピエール・ワシェ(以下:ワシェ):素晴らしい機会が到来したと、ワクワクしてるよ。レッドブルが今後いっそう飛躍するために、自動車メーカーと特別な関係を結ぶことこそ、最も望んでいたわけだからね。ホンダはレッドブル・グループのためだけに、全力を注いでパワーユニットを開発してくれる。われわれにとって、完璧な提携だ。
──とはいえチーム内には、依然として懐疑論も渦巻いていると聴いています。特にあなた方エンジニアたちは、はたしてホンダがルノーと同じ、あるいはそれ以上のパフォーマンスを出せるか疑問に思っていると。
ワシェ:確かにわれわれはルノーと長年やってきて、頂点を極めてきた。その長い歴史を否定するつもりは、まったくない。彼らは素晴らしいパートナーだった。しかし、ルノーがワークスチームとして再出発して以来、両者の関係が変わってきたことも確かだ。
レッドブルのDNAは、勝ち続けることだ。その道を歩み続けるのに、今のルノーとの関係では限界がある。選択肢としてはホンダしかなかったし、たとえばフェラーリやメルセデスがパワーユニット供給を承諾してくれたとしても、それは果たして最上のものだと言えるのだろうか。
ホンダとのパートナーシップこそが取るべき正しい道だったと、今は僕たちエンジニアも納得しているよ。
──ホンダのエンジニアとは、すでに話をしましたか?
ワシェ:いや、まだしてない。
──ホンダF1テクニカルディレクターの田辺豊治さんとも?
ワシェ:ほんの挨拶程度だね。本格的な技術ミーティングも、近いうちに入ることになると思うけど。
──これまでのホンダ製パワーユニットの進化の具合を、注視してきたと思うのですが。
ワシェ:主にカナダでのアップデートだね。それは詳細に分析した。非常に順調なステップだと感じたよ。こんなに順調な進化は、これまでなかったんじゃないかな。
──それは主にGPSデータの分析ですか。
ワシェ:そうだね。