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F1 ニュース

投稿日: 2018.09.14 18:09

【小松礼雄のF1本音コラム】フロアの違反でグロージャン失格裁定の真実、FIAはプロのスチュワードをフルタイムで雇用すべき

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F1 | 【小松礼雄のF1本音コラム】フロアの違反でグロージャン失格裁定の真実、FIAはプロのスチュワードをフルタイムで雇用すべき

 アロンソはこんなことをされて黙っているわけはありません。彼は失うものは何もないので、ピットストレートでケビンのスリップストリームに入り、1コーナーをブレーキがロックするところまで攻めました。結果、彼はコースオフしたのですが、2コーナーでコースに戻ってくる際にしっかりとコースを横切ってケビンが普通に走れないようにしました。

 アロンソの取った行動は決して褒められたものではありませんが、ケビンの考えも甘すぎました。結果、ケビンはQ2敗退。普通にやっていればアロンソはQ2敗退で、ケビンはQ3に進んでいたでしょう。失うものがあったのはケビンだけです。アロンソがあのような行動に出てくることは容易に想像できるのに、アウトラップの最終コーナー手前で抜いてしまった。ターン8を越えた時点でマクラーレンとのスペースを作り、それからアタックに入るべきでした。

 実際、ケビンの後ろにいたロマンはターン8出口ですでに危険を察知して、ケビンとの間隔を4秒くらい空けていました。冷静な判断ができていたと思います。逆にケビンはまったく必要の無いことをして自分の予選を台なしにしたので、これはちゃんと反省して見直すべきです。

 そのロマンですが決勝ではスタートこそ悪かったものの、ターン1へ向けてアウト側から冷静にポジションを取り戻し、その後はフォース・インディア勢、カルロス・サインツJr.を抑えて6位でチェッカーを受けました。今回もスパに続きフォース・インディアは速かったです。それを見事に抑えきる素晴らしいドライブだったと思います。しかし、レース後の審議でフロアの規定違反により失格の裁定を下されてしまったわけですが、チームは即座に控訴して現在、その裁判の準備に入っています。

 レギュレーションには、フロア前端のフロントコーナーと呼ばれる角の部分に半径50mmの丸みがないといけないと定められています。しかし、以前からずっとどこまでがフロントコーナーなのかという議論がありました。

 FIAは7月25日にTD(テクニカルデリゲート)033-18という技術仕様書を発行し、各チームに対してイタリアGPまでにクルマをこれに適応させるように通達してきました。そこにはフロントコーナーに該当する箇所がふたつある場合、その2つともに丸みをつけなければいけないと書かれていました。しかし、肝心な「どこまでがフロントコーナーと認識されるのか・どの地点より後ろだったらもうフロントコーナーではないのか」という定義がされていませんでした。

 定義がちゃんとされないということはそこに解釈の余地を残すグレーエリアがあるということです。F1のクルマをデザインする際にはこのようなグレーエリアを自分たちに都合の良いように解釈して有利になるデザインをします。それが普通です。かつてのブラウンGPのダブルディフューザーもしかりです。そこが腕の見せどころになるのです。

 このTDの発行後、我々の空力責任者がFIAの担当者である元フェラーリのニコラス・トンバシスにこのグレーエリアの解釈について質問をしています。その結果、メールで「これならば適用内」という見解を通達されていました。ただし、これはあくまでメール上のやり取りであって、規則として明文化されたものではありません。つまり何の効力もないわけです。

■グレーエリアを攻めるF1マシンの開発背景
■ルノーの訴えF1の政治バトル
■不安定なスチュワード判断

続きはF1速報WEBで掲載中


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