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F1 ニュース

投稿日: 2018.10.02 16:04

F1 Topic:議論が巻き起こったメルセデスのチームオーダー、過去に大きな批判にさらされたフェラーリとの違い

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F1 | F1 Topic:議論が巻き起こったメルセデスのチームオーダー、過去に大きな批判にさらされたフェラーリとの違い

 F1第16戦ロシアGP決勝でメルセデスが実行したチームオーダーに関しては、レース後、さまざまな議論が巻き起こった。

 チームオーダーが発令された後に騒動が起きることは珍しくない。最近では2010年の第11戦ドイツGPでフェラーリがトップを走るフェリペ・マッサに対して2番手でチームメイトのフェルナンド・アロンソにポジションを譲ることを示唆する「フェルナンドは君よりも速い。このメッセージの意味がわかるか?」と無線でチームからの意思をレースエンジニアのロブ・スメドレーがマッサに伝えたメッセージは有名だ。

 レース後の会見ではアロンソが集中砲火を浴びただけでなく、2位のマッサに対してもブラジル人ジャーナリストたちから「プライドはないのか?」と激しく非難されていた。

 ブラジル人ジャーナリストたちの悔しい思いは、その8年前にも、ブラジル人ドライバーがチームオーダーによって優勝を奪い取られた過去があったからだ。それは2002年の第6戦オーストリアGPだ。しかも、このときもチームオーダーを発令したのはフェラーリだった。

 トップを快走していたルーベンス・バリチェロに対して、「チャンピオンシップを考えろ」とタイトル争いで優位に立っていたチームメイトで2番手を走るミハエル・シューマッハーにポジションを譲るよう、チーム代表のジャン・トッドが指令を出した。

 バリチェロは最後まで抵抗したが、最終的に同意したものの、ポジションの入れ替えをファイナルラップの最終コーナーを立ち上がったフィニッシュライン手前で行うことで、チームへの抗議を見せた。表彰式はスタンドから大ブーイングが起きる中で行われる異様な雰囲気となり、その後行われた記者会見では、優勝したシューマッハーに対して「スポーツマンとして恥ずかしくないのか?」などの痛烈な批判が主にイギリス人記者から浴びせられていた。

 この一件は世界中から批判を受け、事態を重く受け止めた国際自動車連盟(FIA)は、レギュレーションを改訂し、以後チームオーダーは禁止となった。しかし、直接「譲れ」という言葉を使わずにチーム内でチームオーダーを示す隠語を使うことで、その後もチームオーダーは行われ続けてきた。2010年の「フェルナンドは君より速い」はその典型的な暗号だった。

 レース後、FIAはフェラーリのスタッフへの事情聴取などの調査に乗り出し、最終的に国際スポーティング・コード第39条(チーム・オーダー禁止)/第151条(スポーツ信用の失墜)の違反により、フェラーリに100万ドルの罰金が科せられた。

 しかし、この一件はチームオーダーを禁止するのは現実的には難しいという事実も浮き彫りにし、FIAは2011年以降、再びレギュレーションを改訂。「チームオーダーを禁止する条項(39.1)は削除されるが、チームは、このスポーツの信用を失墜させる可能性がある行為は国際スポーツ法典151c条およびその他の関連する条項において対処されることを承知すること」とした。

■F1ロシアGP決勝レース後に、メルセデスF1代表のトト・ウォルフが会見


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