レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2019.12.29 12:00
更新日: 2020.01.02 15:52

レッドブル・ホンダ『シーズン5勝』叶わず。原因はフロントウイングの解釈ミス【2019年F1反省会(1)/尾張正博編】

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | レッドブル・ホンダ『シーズン5勝』叶わず。原因はフロントウイングの解釈ミス【2019年F1反省会(1)/尾張正博編】

Q:ハミルトンのタイトル獲得、メルセデスの6連覇と、結果だけを見ると2018年と代わり映えしない結果になりましたが、2019年シーズン全体としてはいかがでしょうか。

尾張:結果だけを見ると6連覇ですが、連覇している時には誤解しがちな点があります。たとえば後続に30秒以上の差をつけて連勝が続いたり、ポイントでも200点以上の差をつけて連覇していれば、ものすごく強いと思いますよね。でも最後のちょっとした差で勝ったりタイトルを獲るという状況では、翌年の連覇が簡単かというとそうではないんです。

 メルセデスの開幕8連勝も、第2戦バーレーンGPでフェラーリのPUトラブルがなければ実現しなかった。もちろんそれも含めてレースですけどね。よく1988年のマクラーレン・ホンダ(開幕11連勝)と比較されますが、それとはちょっと違うなと思います。

 レッドブル・ホンダは、先に話したようにクルマの開発がうまくいきませんでした。フェラーリは速さを見せたレースがあったものの、バーレーンGPではPUの信頼性のトラブルで勝てず、第4戦アゼルバイジャンGPでは調子の良さそうなシャルル・ルクレールが予選でクラッシュ、第7戦カナダGPではセバスチャン・ベッテルがプレッシャーに負けた。レッドブルとフェラーリはどちらも自滅でした。

 それも含めてメルセデスが強いと言われればそれまでですが、メルセデスはきちんと足元を見て自分たちのやるべきことをきちんとやっている。この数年間そうですし、それが彼らの強みかなと思います。

 第5戦スペインGPや第10戦イギリスGPのように得意なレースをしっかり獲り、高地の第18戦メキシコGPのように、たとえ勝てなくてもタイトル争いには問題ないというレースでも、周りがコケたことが今年メルセデスが圧勝した最大の要因。2020年のタイトル争いがどうなるのかは、フェラーリ、レッドブル・ホンダ次第です。

2019年F1第17戦日本GP メルセデスのコンストラクターズチャンピオン獲得をチームで祝福
2019年F1第17戦日本GP メルセデスのコンストラクターズチャンピオン獲得をチームで祝福

Q:レッドブルは開幕前に「5勝する」と宣言するも、最終的には3勝にとどまりました。5勝できなかった原因と課題について個人的な見解を教えてください。

尾張:最終戦アブダビGPでピエール・ワシェ(レッドブルのテクニカルディレクター)に話を聞いたのですが、レッドブルは金曜日のフリー走行1回目に2020年シーズンに向けた新しいフロントウイングを試していました。

 第17戦日本GPでコンストラクターズタイトルが決まって以来、トップチームは2020年に向けて開発を進めていました。もちろんレッドブルもそうで、2020年はフロントウイングの形状を変えるようです。ということは、勝てなかった原因は『新しいフロントウイングに対する解釈の判断ミス』だと言っているようなもの。これが原因のひとつですね。

 もうひとつ言えるとしたら、セカンドドライバーのパフォーマンス不足です。3勝にとどまった大きな理由にはならないにしても、1台で走らないといけないプレシーズンテストでピエール・ガスリー(現トロロッソ・ホンダ)が2回クラッシュしたことで、データ収集が完全に遅れてしまった。開幕戦に新しいウイングを持っていこうとしたけれど、間に合わずに第3戦中国GPで投入したことなどを含めると、セカンドドライバーの影響は少なくなかったのではないでしょうか。

 昨年、クリスチャン・ホーナー(レッドブルのチーム代表)はフロントウイングの規則変更に反対していました。ホーナーを擁護するわけではありませんが、今年のフロントウイングに関する規則変更は誰のためにもならなかったと思います。2021年にはレギュレーションが変わるのに、この2年間のためだけの規則変更によってトップ3とそれ以外のチームとの差が広がってしまいました。


関連のニュース