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F1 ニュース

投稿日: 2021.07.29 18:52
更新日: 2021.07.29 19:07

「ロン・デニスはホンダとの契約に反対だった」元チーム代表が告白するマクラーレン・ホンダ失敗の背景

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F1 | 「ロン・デニスはホンダとの契約に反対だった」元チーム代表が告白するマクラーレン・ホンダ失敗の背景

──2015年からホンダ製パワーユニットを搭載しましたが、チームは低迷し続けました。なぜ、マクラーレンとホンダの関係はうまくいかなかったのでしょう?

「うまくマネージメントできなかったからだ。我々が最初にメルセデス・エンジンにスイッチした時、実際はメルセデス・ベンツの支援を受けたイルモア製エンジンだった。あのエンジンを使った最初の数年間、特にポール・モーガンが亡くなってからは大きなトラウマになるほどで、パワーも信頼性もなかった」

「そこで私はメルセデスHPP(メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ)を設立し、アンディ・コーウェルを採用した。そして、イルモアのマリオ(イリエン)と衝突しながらも、なんとかして競争力のあるエンジンに仕上げたんだ」

「しかし、2015年にホンダと組んだ時には、そういったマネージメントができていなかった。チームはフェルナンド(・アロンソ)がホンダを批判するのに寛容すぎたし、本来なら止めさせるべきだった」

「というのも、戦略的にパフォーマンスを上げていくには1~2年はかかるものだし、ドライバーはそんなことを気にはせず、次のレースのことだけ考えていればいいんだ。だが、チームは明らかにフェルナンドに振りまわされていた。彼が事実上の“チーム代表”になっていたからだ。しかし、フェルナンドは2020年のことなど気にもしていなかったし、その頃にはF1から引退するつもりだった」

──今から思えば、最大の過ちはアロンソと契約したことになるのでしょうか。

「フェルナンドをチームに迎え入れたものの、マクラーレン側の準備は整っておらず、うまくマネージメントすることができなかったのだと思う。事実上のチーム代表となったフェルナンドは、もっとも強力な存在となっていたからね」

「ドライバーが力を持ちすぎるのはよくあることで、現在のメルセデスがまさにそうだが、トト(・ウォルフ/チーム代表)はそれに抵抗しようとしている」

「ドライバーはチームの長期的な利益を考えているわけではなく、本質的には利己的なんだ。それこそがドライバーに求める資質であり、だからこそ彼らは強くなり、勝者になれる。だから、チームはドライバーに頼るのではなく、しっかりマネージメントする必要があるんだ」

「でも、当時のマクラーレンではマンスールやザック(・ブラウン/チーフエグゼクティブオフィサー)にも大きな影響力を持つフェルナンドが采配を振るっており、それは本当に馬鹿げていた。その状況に耐えきれなくなった私は4、5年前にマンスールと口論になり、反旗を翻したんだ」

「マクラーレンを離れた後も、2、3年は『もう自分には関係ない』と考えていたほどだ。その後、マンスールと仲直りはしたものの、少なくとも1年間は彼と関係がこじれたままだった。今となっては、マンスールと大喧嘩してしまったことを後悔しているよ」

マクラーレン・ホンダ初年度の2015年。トラブルやパフォーマンス不足に悩まされたが「ホンダは独自のレース文化があり、その仕事ぶりは徹底していた」と当時からウィットマーシュは期待していたという。
マクラーレン・ホンダ初年度の2015年。トラブルやパフォーマンス不足に悩まされたが「ホンダは独自のレース文化があり、その仕事ぶりは徹底していた」と当時からウィットマーシュは期待していたという。

■革新ではなく蓄積


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