マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、競争上の優位性を守るためにF1の予算制限額を増額しようと、このスポーツを人質にしている一部チームの姿勢を非難した。
マクラーレンのウェブサイトで公開されたグランプリレースの現状評価のなかで、ブラウンは説得力をもって現在F1につきつけられているいくつかの論争中の問題を掘り下げた。
ブラウンが提示したトピックのなかには、選手権のスプリント予選に関連し、マシン損傷を想定したコストをチームの年間予算に追加するべきだという口実のもと、大規模チームがF1の予選制限額を増やそうと絶え間ないロビー活動を行っていることがあり、それはブラウンにとって大きな懸念事項となっている。2021年にスプリント予選のトライアルが成功したことで、2022年シーズンにF1は土曜日のスプリント予選を6回まで増やす予定だ。
しかしブラウンにとって、大規模チームがスプリントレースで被るかもしれないダメージを考慮してF1の予算制限額の増額を要求していることは、「失った競争上の優位性を守ろうとする試みを、うっすらと隠しているだけにすぎない」という。
「支出が今年1億4000万ドル(約160億円)に、来年は1億3500万ドル(約155億円)に減額されるという、我々およびF1全体に提示された新たな財務レギュレーションは、多額の支出が可能で膨大なリソースを持つチームが必然的に持つアドバンテージを減らし、より公平な競争のフレームワークを作るものだ」とブラウンは書いている。
「しかしながら、F1全体における経済的持続可能性の推進を我々は継続しなければならない。一部のチームは、予算制限額を増額して世界選手権で勝利し、大金を得るための言い訳を今も探している」
「スプリント予選でのダメージを補填するためにコスト制限を上げるという、一部チームが行っているロビー活動は、現在進行中の例だ。F1が主導した土曜日のスプリントレースは、新たな視聴者を増やし、F1の知名度を上げて世界的なファン層を拡大した」
「だが2021年のスプリント予選ではほとんどマシンが損傷することがなかったという明確な証拠があるにもかかわらず、これらのチームは法外な金額にまでコスト制限を緩和することを要求し続けている。失った競争上の優位性を守ろうとする試みがうっすらと隠されているのだ」
「現在のF1のガバナンス構造では、一部のチームが競争上の優位性を守るために、ファンやひいてはスポーツ全体にとって最善なことから、このスポーツを事実上の人質にすることができてしまっている。こうしたチームは、スポーツにとって最善の利益となる予算制限を受け入れることができず、彼らの支出の習慣を捨てることができないようだ」