FIA F2は全戦がF1のサポートイベントとして開催される。基本的なレースフォーマットはレースウイーク初日に45分間のフリー走行と30分間の予選。2日目にレース距離120km/最大時間45分のスプリントレース(決勝レース1)。3日目にタイヤ4本交換に伴うピットストップが義務付けられるレース距離170km/最大時間60分のフィーチャーレース(決勝レース2)が行われる。
レースフォーマットにおけるF1との大きな違いが1週末に2度の決勝レースが行われること、そしてリバースグリッド制の導入の2点だ。レースウイーク初日の予選結果により3日目のフィーチャーレース(決勝レース2)のグリッドが決定。そして予選結果から上位10台を逆順にし、2日目のスプリントレース(決勝レース1)のグリッドを決定する。
このリバースグリッド制により、たとえば、予選で最速タイムをマークしたドライバーは、スプリントレース(決勝レース1)では10番手から、フィーチャーレース(決勝レース2)ではポールポジションからのスタートすることになる。
一見不公平にも見えるリバースグリッド制だが、スプリントレース(決勝レース1)では上位8台までがポイントを獲得でき、優勝ドライバーには10点。一方、フィーチャーレース(決勝レース2)では上位10台までがポイントを獲得でき、優勝ドライバーには25点が与えられる。獲得できるポイント差が大きいため、タイトル獲得へ向けては2レース合わせてより多くのポイントを獲得し続けられるかが、大きなポイントとなる。
なお、予選ポールシッターには2ポイントが与えられるほか、レース中にファステストラップを記録したドライバーが10位以内でフィニッシュすれば1ポイントが与えられる。そのため、1大会(1週末)で獲得できる最大ポイントは39点となる。
2024年開催スケジュールにおける最大の注目は、FIA F2としては初となるカタール開催だろう。近郊の砂漠から吹く砂の影響も受けやすい高速レイアウトのロサイル・インターナショナル・サーキットで、若手ドライバーたちがどのようなレースを繰り広げるかは大いに注目したいところだ。

■2024年FIA F2開催スケジュール
Round | 日程 | 開催地 |
---|---|---|
1 | 2月29日〜3月2日 | サクヒール(バーレーン) |
2 | 3月7〜9日 | ジェッダ(サウジアラビア) |
3 | 3月22〜24日 | メルボルン(オーストラリア) |
4 | 5月17〜19日 | イモラ(イタリア) |
5 | 5月23〜26日 | モンテカルロ(モナコ) |
6 | 6月21〜23日 | バルセロナ(スペイン) |
7 | 6月28〜30日 | レッドブル・リンク(オーストリア) |
8 | 7月5〜7日 | シルバーストン(イギリス) |
9 | 7月19〜21日 | ハンガロリンク(ハンガリー) |
10 | 7月26〜28日 | スパ・フランコルシャン(ベルギー) |
11 | 8月30〜9月1日 | モンツァ(イタリア) |
12 | 9月13〜15日 | バクー(アゼルバイジャン) |
13 | 11月29日〜12月1日 | ロサイル(カタール) |
14 | 12月6〜8日 | ヤス・マリーナ(アブダビ/アラブ首長国連邦) |

■日本王者、宮田莉朋の戦いはいかに
2024年シーズンを戦う22名のドライバーラインアップのうち、10名がFIA F2フル参戦1年目を迎える。ルーキーの中でも注目は、全日本スーパーフォーミュラ選手権とスーパーGT GT500クラスのダブルタイトルを手にした宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)だろう。欧州でキャリアを重ねてきたライバル勢に対し、日本の王者はどのような走りを見せてくれるのか。その戦いからは目が離せない。
2023年のFIA F3チャンピオンに輝いたガブリエル・ボルトレートはマクラーレン育成に加入し、インビクタ・レーシングから参戦する。また、FIA F3を経験せず、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ(FRECA)からFIA F2に飛び級を果たすアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)の走りも楽しみなポイントだろう。
特に17歳のアントネッリはシングルシーターでのフルシーズンを2年しか経験していないものの、2022年のイタリアF4、ADAC F4、FIA モーターゲームズのF4カップ、2023年のフォーミュラ・リージョナル・ミドルイースト、そしてFRECAという5選手権でタイトルを獲得しており、ルイス・ハミルトンが離れるメルセデスF1の後任予想で、既に名前が挙げられているドライバーだ。


また、参戦2年目を迎えるドライバーたちにとっては、ルーキーには負けられない1年となる。昨年ランキング5位のビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)、昨年ランキング6位のオリバー・ベアマン(オリバー・ベアマン/フェラーリ育成)はデビューイヤーから印象強い走りを見せていただけに、2024年のタイトル候補に違いない。


そして同じく参戦2年目を迎え、宮田のチームメイトとなるゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)は、昨年こそ2位2回獲得も未勝利に終わっているが、開幕前に3日間行われたプレシーズンテストのうち、ドライコンディションで走行できた2日間では両日トップタイムを記録しており、注目すべき存在だろう。
2024年シーズンのFIA F2は2月29日〜3月2日に、バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催されるF1第1戦バーレーンGPのサポートイベントとして開幕を迎える。欧州でキャリアを重ねてきたライバル勢に対し、全日本スーパーフォーミュラ選手権とスーパーGT GT500クラスのダブルタイトルを手にした宮田がいかに挑み、どのような走りを見せてくれるのか。その戦いからは目が離せない。



■2024年FIA F2エントリーリスト
Car.No | Rookie | Driver | Team | Program |
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1 | ビクトール・マルタンス | ARTグランプリ | アルピーヌ育成 | |
2 | ○ | ザク・オサリバン | ARTグランプリ | ウイリアムズ育成 |
3 | オリバー・ベアマン | プレマ・レーシング | フェラーリ育成 | |
4 | ○ | アンドレア・キミ・アントネッリ | プレマ・レーシング | メルセデス育成 |
5 | ゼイン・マローニ | ロダン・モータースポーツ | ザウバー育成 | |
6 | ○ | 宮田莉朋 | ロダン・モータースポーツ | TGR WECチャレンジプログラム |
7 | ジャック・クロフォード | ダムス・ルーカスオイル | アストンマーティン育成 | |
8 | ファン・マヌエル・コレア | ダムス・ルーカスオイル | – | |
9 | クッシュ・マイニ | インビクタ・レーシング | アルピーヌ育成 | |
10 | ○ | ガブリエル・ボルトレート | インビクタ・レーシング | マクラーレン育成 |
11 | デニス・ハウガー | MPモータースポーツ | – | |
12 | ○ | フランコ・コラピント | MPモータースポーツ | ウイリアムズ育成 |
14 | エンツォ・フィッティパルディ | ファン・アメルスフォールト・レーシング | – | |
15 | ○ | ラファエル・ヴィラゴメス | ファン・アメルスフォールト・レーシング | – |
16 | アムーリ・コルデール | ハイテック・パルスエイト | – | |
17 | ○ | ポール・アーロン | ハイテック・パルスエイト | – |
20 | アイザック・ハジャル | カンポス・レーシング | レッドブル育成 | |
21 | ○ | ジョセップ・マリア・マルティ | カンポス・レーシング | レッドブル育成 |
22 | リチャード・フェルシュフォー | トライデント | – | |
23 | ロマン・スタネ | トライデント | – | |
24 | ○ | ジョシュア・デュルクセン | PHM AIXレーシング | – |
25 | ○ | テイラー・バーナード | PHM AIXレーシング | – |
※上記表組および本記事では、FIA F2オフィシャルサイトに則し、スポット参戦経験者含むFIA F2フル参戦初年度となるドライバーを総じてルーキーと表記する