デイトナ・インターナショナル・スピードウェイにて開催される伝統の開幕戦、第67回『デイトナ500』の週末を迎えた2025年のNASCARカップシリーズは、早くも2月12日水曜の夜に実施された予選にて、この2025年シーズンに向けトヨタ陣営に加入したチェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が、自身キャリア3度目のポールポジションを獲得した。
さらにオープン登録ドライバーとして参戦する56号車のマーティン・トゥルーエクスJr.(トライコン・ガレージ/トヨタ・カムリXSE)や、同84号車のジミー・ジョンソン(レガシー・モーター・クラブ/トヨタ・カムリXSE)らも、シングルカー予選で最速を記録して早々の本戦出場枠を確保することに。そしてオープン免除暫定の申請で参戦枠を得ている注目のエリオ・カストロネベス(トラックハウス・レーシング・チーム/シボレー・カマロZL1)も、ストックカー初ドライブに臨んでいる。
北米シングルシーター最高峰、NTTインディカー・シリーズにて“世界三大レース”に位置付けられる『インディアナポリス500マイル』を4度も制覇し、北米スポーツカーシリーズIMSAの『デイトナ24時間』でも3回の総合優勝を成し遂げたカストロネベスは、レースウイーク最初の水曜に50分間だけ用意されたプラクティスにて、91号車のシボレーでオーバルへ。この“NASCARデビューセッション”で計13周を走行し、上々の12番手を記録した。
「カメラはヘルメットの後ろにあったから、僕の笑顔は見えなかったと思うけど、すごくクールだった」と“Next-Gen”規定カップカーの初ドライブを振り返ったカストロネベス。
「走り出してすぐ『ああ、これは大変だ。なんてタフなんだ』『ああ、まさか。本当にこの機会を手に入れたんだ』と感じたよ。だから本当に楽しくて、心から興奮した。レースに出るのが待ち切れないよ!」
限られたシートタイムながら、事前にARCAメナーズ・シリーズでのテストやタラデガでのピット練習を経て、これがカップカーでの初走行となったカストロネベスだが、このプラクティスが競技走行の前に行う唯一のセッションとなり、まだ大集団でのドラフトも未経験のまま水曜夜に予選ラップを走り、木曜はスターティンググリッドを確定させる予選デュエルレースの2ヒートに参加する。
それでも「やはりストックカーの動きは少し違うね」と続けた大ベテランは、従来の方法であろうが新規定による41番目の出場枠であろうが、すでに日曜のファイナル出場枠が保証されている。
「パワーステアリングがあり、曲がるときに少し遅れる。速度の違い……は感じないね。(インディカーは)パワステがなく、少し速く曲がれて、少し重くなる。ステアリングホイールにすべてのものがより多く伝わる感じだ。とにかく練習が必要で、距離を走らなければならない。経験がまったくないからね」と、水曜初走行の段階で語っていたカストロネベス。
「今日はクルマに乗るのが2回目で、飛び乗るたびに何かを学べると思うし、それが必要なんだ。正直に言って、これは“ディファレント・ビースト”で素晴らしいクルマだ。ルールもまったく違うし、競技も僕が慣れているものとは違うと思う。だから何が起こっても走り続け、乗るたびに学びたい」
その予選では、日曜に向けカップ戦デビューを目指すトライコン・ガレージに起用された現役引退“直後”のトゥルーエクスJr.が、2017年のシリーズチャンピオンとして貫禄のドライブを披露。最速のオープンドライバーとして決勝出場枠を確保した。
「間違いなく大きな安堵だ。デュエルでは何が起こるかわからないし、クレイジーな展開になることも多々ある。ピットロードで何かトラブルに巻き込まれることもあるからね」と続けた元王者。
「この契約をまとめてくれた皆に感謝しているし、トヨタとTRDにとって、これは大きな出来事だと確信している。午後の間、ずっと汗をかいて取り組んだクルーのためにも良いラップが刻めた。確定した2台のクルマはどちらもトヨタだ。週末の残りを楽しく過ごせるといいね」
その言葉どおり、このデイトナ500で2勝を誇る“JJ”ことジョンソンは、ここで2番目に速いオープン登録ドライバーとして、昨季2024年はデュエルで得ていた参戦枠をひと足早く確定させることができた。
「昨年経験したことはとても恐ろしいことだったし、二度と経験しなくてよかったよ(笑)」と、こちらも安堵の言葉を漏らしたジョンソン。「このプロセスを尊重しているし、とても厳しい門だ。自分のトヨタにとても満足しているし、レガシー・モーター・クラブの皆にも満足している」
そしてプラクティスで最速となったデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)に続き、この予選ではトゥルーエクスJr.の後任としてJGR移籍を決めたブリスコが、自身デイトナ500初、カップ通算3度目、そして19号車でのデビュー戦でいきなりのポールを獲得し、トヨタにとって同イベント初の最上位グリッドをもたらした。
「信じられないようなシーズンのスタートだし、すでに多くのことを成し遂げているトヨタとJGRに、最初の何かをもたらすことができるなんて、本当にクールだ!」と、最前列にオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)を従え喜びを語ったブリスコ。
「オフの期間、皆は『スーパースピードウェイの予選をもっとうまく通過することに集中している』と言っていた。2024年はそれで本当に苦労したからね。19号車のクルーとともに、年間最大のレースでポールポジションを獲得できたことは、とても特別なことさ」