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海外レース他 ニュース

投稿日: 2019.10.22 09:02
更新日: 2019.10.23 13:30

全日本F3とスーパーフォーミュラを戦うB-Max組田龍司会長が感じた欧州と日本の若手フォーミュラの違い/独占インタビュー

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海外レース他 | 全日本F3とスーパーフォーミュラを戦うB-Max組田龍司会長が感じた欧州と日本の若手フォーミュラの違い/独占インタビュー

――レースに対する思い入れの違いは感じましたか?
組田:「個人的な感想では、決勝レース1で佐藤万璃音選手が勝って、2位と3位も日本のドライバーで表彰台を独占し、僕はうれしい気持ちを抱えて表彰式を見に行きました」

「そのとき、モトパークのスタッフが心の底から自分たちのドライバーの勝利を喜んでいたんです。これは気性の違いかもしれないけれど、日本人はそういう場面でも控えめかな。でも、こちらの人は“やった! やった!”と全身で喜びを表していて、自分も競技に参加しているという意識を爆発させていて、これは良いなあと思いました」

――ほかに日本とヨーロッパの違いを何か感じましたか?
組田:「まず、モンツァを訪れて感じたのは、全日本F3選手権はEFOと比べても決して見劣りしないレースのレベルにあるということ。ドライバーのレベルは、ジェントルマンを除けば日本もまったく見劣りしません。トップレベルで争っている若手ドライバーの能力は変わらないですね」

「日本のドライバーが決勝レース1で表彰台を独占したことでもそれは証明できると思います。ただ、それを取り巻く環境は違う。日本でもヨーロッパと同じような舞台を整える必要はあると思います。日本の環境は残念ながら立ち遅れていると感じています」

――チームの仕事面ですか? オーガナイザーやプロモーターの仕事面ですか?
組田:「どちらかと言えば、オーガナイザーやプロモーターの演出に足りない部分があるのではないでしょうか。たとえばケータリングを含めたホスピタリティ。ジュニア・フォーミュラへ参戦するドライバーのスポンサーや親御さんがサーキットでくつろげる場所の提供は、やはり必要と実感しました」

「日本はそこまで行き届いていない。そういうものをひとつのパッケージのなかでしっかりとやっていかないと、こういうレベルにはならないと思います」

――チームにとってドライバーは大切なお客さんですからね。
組田:「ジュニア・フォーミュラのドライバーは、ほとんどが親御さんの資金で走っているし、みんな夢を追いかけているので必死です。いかに子どもたちをリラックスさせて、いい環境でレースさせるかということに対しては神経をとがらせています。クルマだけ良ければいいだろう? という感覚はここにはありません」

――日本のプロモーターやオーガナイザーはそうした面にも気を遣って欲しいですね。
組田:「ジュニア・ドライバーの多くは、育成ドライバーとしてどこかの自動車メーカーの色が付いているのかもしれない。でも、基本的にドライバーの支援者は親族や親御さん、個人で持ち込むスポンサーさんであり、彼らの存在も忘れてはいけません」

「その人たちの居場所も用意しなくちゃいけないはずだけれど、それができているチームは日本にはほとんどありません」

――紆余曲折ありながらも、今季は着実に成績を残したB-Maxの来季の体制が気になります。モトパークとの人材交流を含めた技術提携は継続されるとして、ドライバー・ラインアップも含めてどのような見通しですか?
組田:「現在はモトパークとのコラボレーションなので、僕は彼らから推薦されるドライバー、レベルの高いドライバーが日本に来て欲しいです。今年の全日本F3では起用したサッシャ・フェネストラズが幸運にもチャンピオンを取りました」

「でも、非常に接戦だったし、日本にはトムスに代表されるように強力なチームも存在します。来年もそういった強豪といい勝負、あるいは勝利を目標とするなら、相当次元の高いドライバーじゃないとと太刀打ちできません。そこはモトパーク代表のティモ・ランプケイルと話しあって、勝つ力のあるドライバーを送ってくれと要望しました」

「その先には、日本のジュニアフォーミュラで勝ったらそのままスライドしてスーパーフォーミュラに乗ってもらえるような絵を描きたい。そこまでの2、3年の絵が描けるドライバーが来てくれるとうれしいです」

――スーパーフォーミュラでの2020年のドライバーラインアップも気になります。
組田:「B-Maxはレッドブル・ジュニアチームという位置づけもあるので、1台はレッドブルの意向が強く反映されたドライバー選定になると思います。僕たちだけで決められるものでなく、レッドブルが考えているんです」

「もう1台には、本当は全日本F3で我々が育てたサッシャに乗ってもらいたい。でも、彼がどのような絵を描いているのかは分からないので未定です。いずれにしても、戦闘力のあるドライバーを起用します」

「まだ最終戦が残っているけれど、もし今年勝てないままで終わったとしたら、来年こそは初優勝と考えているので、それを実現できるドライバーが欲しいです」

――スーパーフォーミュラにしてもジュニアフォーミュラにしても、日本のドライバーが乗る可能性はありますか?
組田:「うーん……。レベルの高い日本のドライバーは、みんな自動車メーカーの色が付いている。B-Maxはあくまでプライベーターの立場です。そこへレベルの高い日本のドライバーが来るとはなかなか考えにくいんですよね」

「ただ、過去には関口雄飛のような例もある。そういうドライバーと一緒にワークス勢と戦いたいという思いは、F3を始めたときから持っていますよ」

モンツァを訪れたB-Max組田龍司会長
モンツァを訪れたB-Max組田龍司会長
スーパーフォーミュラ第6戦岡山 B-Max Racing with motoparkの記念撮影
スーパーフォーミュラ第6戦岡山 B-Max Racing with motoparkの記念撮影
全日本F3選手権の2019年のチャンピオンを獲得したサッシャ・フェネストラズ(B-Max Racing with motopark F3)
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