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海外レース他 ニュース

投稿日: 2021.09.14 12:19

根本悠生 2021インターナショナルGTオープン第5戦レッドブル・リンク レースレポート

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海外レース他 | 根本悠生 2021インターナショナルGTオープン第5戦レッドブル・リンク レースレポート

 レース1は19号車にとって勝機があったレースだった。目前のライバルである63号車ランボルギーニが20秒、77号車ポルシェが10秒のハンデストップを負っていたためだ。しかし、戦局は望み通りに進むものではなかった。

 9月11日の夕刻に決勝レース1はスタートを迎えたが、4番手スタートの19号車根本はローリングスタートで出遅れ、6番手で1コーナーを通過。4コーナーでポジション5番手に戻すも、2周目の4コーナーで今度は47号車メルセデスにかわされ再び6番手となった。

 4番手にポジションを上げた69号車アストンマーティン、そして5番手47号車メルセデスとの三つ巴の戦いが繰り広げられるなか、根本は4周目の1コーナーで47号車メルセデスに対しオーバーテイクを仕掛ける。しかし、この試みは失敗におわり、アスファルトのランオフエリアに飛び出してしまう。幸いに大幅な減速とはならず、コース復帰を果たした根本は、続く2コーナーで47号車メルセデスに並びかけると、鋭角な3コーナーのブレーキング勝負で勝り、5番手にポジションを戻すことに成功する。

 しかし、のちにこの4周目のオーバーランで19号車がアドバンテージを得たと判断され、『レース結果に3秒加算』のペナルティが19号車に課せられることとなる。

 根本は9周目の1コーナーで、今度は4番手の69号車アストンマーティンに勝負を仕掛けた。今度はコースオフギリギリの巧みなラインどりでオーバーテイクに成功し、スタートポジションの4番手を取り戻す。しかし、この時点でトップの72号車マクラーレンとのギャップは13秒に広がっていた。

インターナショナルGTオープンに参戦する19号車ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(根本悠生/バプティスト・ムーラン)
インターナショナルGTオープンに参戦する19号車ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(根本悠生/バプティスト・ムーラン)

 4番手を取り戻した根本は14周目に1分29秒809を記録するハイペースペースで、先行する3番手77号車アンディ・ソウセックとのギャップを縮めにかかると、23周目に2台の差は3.7秒差となった。

 根本はトップの72号車マクラーレンと同じ26周目、ピットレーンクローズドのタイミングギリギリまで引っ張ってピットイン。第2スティントを担当するムーランにステアリングを託した。

 19号車は作戦通り、ハンディを負った63号車ランボルギーニと77号車ポルシェの前、72号車マクラーレンに続く2番手でコースに復帰を果たす。しかし、63号車のエース、シャンドルフは1分29秒7の脅威的なタイムを連発。1周1秒と19号車に接近し、29周目にはポジションを入れ変えることに。63号車は19号車と同じVSRのチームメイトであり、ペースが大きく異なったことから無理を避けたかたちだ。

 19号車ムーランは続いて背後から接近する77号車ポルシェのアル・ズベイルとの3番手争いを繰り広げたが、31周目に突如レッドブル・リンクに雨粒が落ち始める。すると、77号車ポルシェが最終コーナーでコースオフを喫し、69号車アストンマーティンが4番手に浮上する。

 一方、2番手の63号車ランボルギーニが首位の72号車マクラーレンに急接近。時間が経過するにつれて雨足が強まるなか、シャンドルフは34周目の4コーナーでマクラーレンを攻略し、首位におどり出る。その直後、ここまで3番手を守っていた19号車ムーランも限界を迎え、69号車アストンマーティンにかわされ4番手にポジションを下げてしまう。69号車は続いてペースが下がった72号車マクラーレンを仕留め、2番手に浮上する。

 終盤は完全なウエットコンディションとなり各車のペースが下がるなか、19号車の上位進出に望みを繋げるべく、VSRの監督ヴィンツェンツォ・ソスピリは勝負に出る。チェッカーまで残り10分となった38周目に19号車に対しピットインを指示。タイヤをレインに交換して再びコースに送り出した。なお、首位を走る63号車はこの時点で2番手69号車アストンマーティンに11秒のリードを築いていたため、ステイを選択している。

インターナショナルGTオープンに参戦する19号車ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(根本悠生/バプティスト・ムーラン)
インターナショナルGTオープンに参戦する19号車ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(根本悠生/バプティスト・ムーラン)

 ドライタイヤではレースペースの維持が困難を極めるなか、第2スティントで若手、ジェントルマンが乗る中段勢は大きくペースダウン。その様子を見て、19号車とランキング争いを展開する77号車ポルシェも39周目にピットイン。レインタイヤへ交換作業を行うも、右フロントタイヤの交換に手間取り、大きくポジションを下げる結果に。

 一方、上位勢で唯一レインへと履き替えた19号車ムーランは水を得た魚のような、他を圧倒するハイペースで周回。40周目には5番手までポジションを戻した。このまま行けば、チェッカーまでに63号車を上回り、待望の初優勝を手にするかと思われた矢先、事態は急変する。

 41周目、セクター1は各車が猛烈なウォータースクリーンを巻き上げる猛烈な雨となった。もはやドライタイヤでの走行は不可能であり、ドライタイヤのままレースをリードしていた63号車ランボルギーニがの3コーナーを止まりきれず、グラベルに突っ込む。続いて2番手69号車アストンマーティン、3番手マクラーレンと、トップ3台がコース外に飛び出してしまい、ここでセーフティカー(SC)が導入される。

 これでコース上3番手までポジションを戻した19号車は優勝を掴みかけることとなったが、SC導入後も47号車メルセデス、777号車メルセデス、22号車アウディが続けて3コーナーでスピン、コースオフを喫する。

 レースも残り4分23秒、周回数にして42周目を迎えたところで赤旗が掲示され、レースは中断となった。そのため、スポーティングレギュレーションに則り、レースは40周経過時点で終了となり、優勝は63号車ランボルギーニ、2位は69号車アストンマーティン、3位に72号車マクラーレンと、コース外に飛び出した3台が奇しくも表彰台を獲得する結果となった。

 一方、レインタイヤへの交換で大きくポジションを上げた19号車だったが、40周経過時点の順位がレース結果として採用されたため、最終的は5位と、表彰台を逃す悔しい結果となってしまった。
※ライブ映像では暫定結果8位と表示されたが、正式結果は5位となる。

「まず初めに、あれだけの雨量の雨スリックで多数のコースアウトがあったにも関わらず、車両同士のクラッシュが起きずに済んだのは奇跡としか言いようがありません。怪我人が出なくて本当に良かったです」と根本は大波乱のレース1を振り返る。

「誰よりも早くリスクを背負いレインタイヤへ交換し、1周10秒以上早く走りギャップを詰めていき2番手へポジションアップ、あとコーナーひとつでトップへおどり出ることができる体制が整っていましたが、その直後にSCからの赤旗終了。悔しいですがこれもレースです。改めて小さな積み重ねにより優勝できるよう精一杯頑張ります」と根本はレース1を振り返る。

 第5戦レース1を5位で終えたことで、ランキング4番手につける77号車アル・ズベイルに1ポイント差まで接近を許してしまうこととなった19号車は、ランキング3番手を死守するためにも、レース2では是が非でも表彰台を獲得しなければならなくなった。

“勝負に勝って試合に負けた”レース1の悔しさを胸に、根本、ムーラン、そしてVSRはすぐさま、翌日に行われる予選Q2とレース2に向けた準備を開始した。

YouTube:https://youtu.be/TnTI3IEYaQI

インターナショナルGTオープンに参戦する19号車ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(根本悠生/バプティスト・ムーラン)
インターナショナルGTオープンに参戦する19号車ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(根本悠生/バプティスト・ムーラン)

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