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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.08.07 10:19
更新日: 2021.10.23 23:52

根本悠生 2021 トタルエナジーズ・スパ24時間 レースレポート

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ル・マン/WEC | 根本悠生 2021 トタルエナジーズ・スパ24時間 レースレポート

Yuki Nemoto
2021 TotalEnergies 24 Hours of Spa Race Report

■Introduction

 1924年、大正13年に第1回大会が開催されて以来、ベルギー・リエージュ州の緑豊かなスパ・フランコルシャン・サーキットを舞台に繰り広げられるスパ24時間レースも、2021年7月31日〜8月1日に開催された大会で通算73回目を迎えた。

 開催スタイルや、車両カテゴリーも変容し、サーキットもレイアウトの変更されるなど、時代の変化に合わせつつも、24時間の激しいレースが繰り広げられることに今も昔も変わりはない。その歴史の深さ、そして優勝、完走の難しさから、フランスの『ル・マン24時間レース』、アメリカの『デイトナ24時間レース』に並ぶ“世界3大耐久レース”に数えられている。

 2021年は、世界各地でFIA-GT3マシンによる各メーカーのワークスチーム、トップドライバーによる自動車メーカーの看板を背負った戦いが繰り広げられる『インターコンチネンタルGTチャレンジ』の第1戦、そしてヨーロッパ各地で開催される『ファナテックGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイ・AWS エンデュランスシリーズ』の第1戦として開催され、4クラス58台がエントリーした。

 インターナショナルGTオープンを主戦場に、GT3レースフル参戦2年目を迎えた根本悠生、そしてヴィンツェンツォ・ソスピリ・レーシング(VSR)にとって初めてのスパ24時間レース参戦であったが、根本はこれまで2度このスパ24時間レースのサポートレースである『ランボルギーニ・スーパートロフェオ・ヨーロッパ』に参戦し、2020年にはスポット参戦ながらレース2で総合優勝を手にしている。初めてスパに降り立った2017年から「いつかはスパ24時間へ」という思いを抱いていた根本だったが、そのチャンスがついに訪れた。

666号車 ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(バプティスト・ムーラン/根本悠生/マーティン・ランプ/グレン・ヴァン・ヴェルロ)
666号車 ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(バプティスト・ムーラン/根本悠生/マーティン・ランプ/グレン・ヴァン・ヴェルロ)

 2019年、ランボルギーニの育成プログラムである『ランボルギーニ・ヤングドライバーズ・プログラム』に所属していた根本は、2020年にイタリアGT選手権に参戦。シーズン序盤からシリーズをリードする巧みな仕事ぶりを評価され、2020年より、ワークスドライバーを選考するよりハイレベルな『ランボルギーニ・GT3ジュニアプログラム』に選出された。シーズン後半も根本の走りは磨かれ、2020年シーズンのイタリアGT選手権のシリーズタイトルを獲得した。

 その活躍が評価され、2021年シーズンはヨーロッパ全土を舞台に開催されるインターナショナルGTオープンにフル参戦。チームは根本と2016年からの付き合いのVSRだ。このチームは近年、ランボルギーニのモータースポーツ部門『スクアドラ・コルセ』と密接な関係を築き、ランボルギーニの若手育成プログラムの中心を担っており、今大会へは若手ドライバー4人体制でシルバーカップに参戦する。

 VSRのスパ24時間レースへの参戦はスクアドラ・コルセによる若手ドライバーの育成と、次の世代のワークスドライバー選出の一環であることをお伝えしておきたい。ドライバー陣容も、スクアドラ・コルセを統括するジョルジオ・サンナが決定した。つまり、ドライバーは将来のランボルギーニのワークスとしてその走りが期待されている存在であることを意味している。

 メンバーはランボルギーニ GT3 ジュニア・プログラムの一員で、インターナショナル・GTオープンに参戦する根本悠生とバプティスト・ムーラン。今年のランボルギーニ・ヤングドライバーズ・プログラムからグレン・ヴァン・ヴェルロ。そして、アウディスポーツ・アジアの契約ドライバーであり、GT3レースの経験が豊富なマーティン・ランプだ。最年長者であり、他メーカーの育成プログラムで結果を残してきたランプの存在は、根本、ムーラン、ヴァン・ヴェルロの3名の力量を図るベンチーマークとしてチームに加わっているという見方もできるだろう。

根本悠生とマーティン・ランプ(ヴィンツェンツォ・ソスピリ・レーシング/VSR)
根本悠生とマーティン・ランプ(ヴィンツェンツォ・ソスピリ・レーシング/VSR)

■フリー走行/プレ・クオリファイ/公式予選

 7月29日10時50分から走り始めとなる30分間のフリー走行が行われ、15時35分からは1時間のプレ・クオリファイが行われた。このプレ・クオリファイは公式予選が何かしらの理由で中止、セッションが実施されなかった場合にスターティンググリッドを決定するタイムの参考となるセッションではあるが、実質には2回目のフリー走行として扱われている。

 気温16.7〜17.6度、路面温度20.5〜24度という中で行われたフリー走行では、2分21秒888を記録してシルバーカップ17番手/総合58番手となる。続く、プレ・クオリファイは気温19.6度、路面温度27.2度中、2分20秒962を記録してシルバーカップ14番手/総合44番手となった。いずれもベストタイムを計測したのは根本悠生だ。チームは「クルマの持てる全てを引き出している」と根本を高く評価するが、本人は更なるタイムアップを欲していた。普段インターナショナルGTオープンというGTワールドチャレンジとは違ったBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)のもとでレースをするVSRも、このスパ24時間という舞台でランボルギーニ・ウラカン GT3 Evoのポテンシャルを引き出すことに苦心する。

 そして現地時間20時40分より計1時間21分の公式予選を迎える。4人の平均タイムで決勝のスタートポジションを決する中、ランプが2分20秒890を、ヴァン・ヴェルロが2分21秒760を、ムーランが2分23秒089というタイムを記録する。そして最終アタッカーを務めた根本は著名なベテランドライバーたちに割って入る2分19秒691を記録するも、666号車はシルバーカップ14番手/総合43番手という結果となり、上位20台がポールポジション争いを繰り広げるスーパーポール進出とはならなかった。

666号車 ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(バプティスト・ムーラン/根本悠生/マーティン・ランプ/グレン・ヴァン・ヴェルロ)
666号車 ランボルギーニ・ウラカン GT3 エボ(バプティスト・ムーラン/根本悠生/マーティン・ランプ/グレン・ヴァン・ヴェルロ)

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