──以前のクラス1の時ではプライベートのテストは禁止、原則的に公式テストのみでした。いま、プライベーターとなった新DTMではテストはフリーとなりましたが、その分色んな可能性が増えた一方で、チームの経済格差でテストの機会に差が出てしまう恐れもあります。例えば、今後他のチームも経済的に加入しやすくするためにもある一定のテスト禁止期間を設ける等のお考えはありますか?
GB:特にいまのところはその点に関してチームからの苦情や訴えは主催者に対してはないが、もしもそのような意見が出れば議題のテーマに取り入れる必要があるのかも知れない。DTMがプライベーターとなったことで、テストが自由にできるというようになったのも利点のひとつであるし、チームごとに開幕を迎えるまでにどうやってプロセスを組んで作業をしていくのかも自由だ。
しかし、私自身もチームやワークス側を長年経験しているが、禁止事項を増やされるとその分シーズン開幕への準備が厳しくなることをよく知っている。テストの回数が厳しく制限されるとなると、それはそれで実走が少なく準備不足となり苦情も出る。ましてやチームの多くはDTMのみならず、他のシリーズにも参戦しており、DTMのテストと称しなくとも他のカテゴリ用やレースで走行を重ねる機会もある。その線引きが非常に難しいところだ。
例えば、スパでプライベートテストをしたとする。その後にWECやF1が開催され、他のイベントが重ねられた後はトラックコンディションも大きく変わる。従ってコースレイアウトを知るという意味ではテストは意味のあるものだが、トラックコンディションを精細にテストするにはあまり効果的ではない。チームがテストを希望する時期も目的もそれぞれで違う訳で、それを主催者側から厳しく制限をすることも難しいのが実状だ。
──ゲストドライバーのセバスチャン・ローブについてどう評価しますか?
GB:トップとは1秒近くの差がついているもの想定内だし、まったく違うカテゴリの選手がトップグループに入るのは難しいとは承知の上だ。しかし、彼のそのファイトやチャレンジ精神、多くのドライバー仲間が憧れるカリスマ性に後輩たちも触発されただろうし、ファンも楽しんでくれたと思う。何よりも本人がとてもエンジョイしてくれたことがうれしい。

■電動化に向けた現在の状況を説明
──クラス1が終了し、それ以降の日独の交流が絶たれてしまい、両国のファンは随分とがっかりしたと思います。しかし、その一方でGT3を用いることになって、世界中どこに行っても同じ車両レギュレーションが基準となったことはひとつの利点でもあります。また、いつの日か日本と一緒にレースができたらという構想はありますか?
GB:私サイドとしてはいつでもウェルカム! バンドーサン(GTA代表の坂東正明氏)とはとても楽しく仕事ができたし、彼はモータースポーツ人として素晴らしいアイデアやバイタリティを持っている方だ。スーパーGTでもGT3マシンは活躍しているし、GT500のマシンを操るトップドライバーならGT3マシンをすぐに乗りこなせる。またいつの日か交流を持てたらうれしいね。
──2023年に電動化へという予定ですね。実際のところ、2023年はもう半年後に迫っていますが、開発状況はどんな感じなのですか?やはり来年から予定どおりにEVへスイッチするのでしょうか?
GB:現在もシェフラーとともに開発が進められている。ミュッケ・モータースポーツのマキシミリアン・ブークがドライブしている18号車のメルセデスAMGが次期EV DTMマシンに搭載されるドライブ・バイ・ワイヤシステムのテスト車両でもある。プロトタイプを実際に走らせるのには12カ月は最低必要とされる。また、各メーカーとの兼ね合い等もあり、2024年、2025年を実稼働を目標としていると言ったところだ。
第一段階のプロトタイプの作成は自動車メーカー関係なく、まずはITRとシェフラーサイドでのニュートラルな状態で作成であるべきだと考えている。この段階にワークスが介入すると、どうしても、そのメーカー関連のサプライヤーを押してきたり、デザインはこうすべき、ギアボックスやモーターはどうなるということになってくるので、現段階ではワークス介入なしでの開発段階だ。
もちろんそのプロトの段階であっても各自動車メーカーとはインフォメーションを共有し、その後の段階で実車をどのような仕様にしていくのか、メーカーらと話し合いをすることになっている。
──DTMのEV化する前に、例えばバイオ燃料を使用するなどの構想はなかったのですか?
GB:もちろん、バイオ燃料に関する案も話し合われた。しかし、それに掛かる費用は予想を大きく上回る概算になり、エントリー費用の大幅な値上げやチームが負担する諸経費が一気に増える。果たしてそんな莫大な費用をプライベーターが捻出できるのだろうか。そのような経緯もあり、DTMではバイオ燃料を用いての将来的なレース興行は断念しているんだ。
