その直後の97周目にはアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)もベルと同様の症状で勝負権を失うと、さらにステージ2中盤には、この瞬間のラップリーダーでありプレーオフのランキング首位を行くチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)にも悲劇が襲う。
184周目に右リヤタイヤを失った9号車は、ボディ右サイドを激しくヒットしてグラスエリアにストップ。衝撃でエキゾーストから出火し、ここでマシンを降りることとなった。
「何かがバラバラになったようだ。右リヤフェンダーあたりから『バタバタ』と音がよく聞こえたからね。詳細はわからないが、スピードダウンしていなければ確実にもっとバラバラになっていただろうね」と、これでランキング首位陥落のエリオット。
そんな波乱続きのなか、ステージ1のカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に続き、ステージ2はジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が制すると、ここでの降雨中断を挟んで前戦勝者ブッシャーとケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)も、立て続けでウォールに散る展開に。
また、終盤を通じてサイド・バイ・サイドの勝負を繰り広げてきたデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)とウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)は、勝負の遺恨からアンダーコーションの隊列走行中に背後のカムリがカマロZL1のリヤにヒットする小競り合いも演じ、これに対しNASCARはレース後に「審議対象とする」ことを明言した。
こうして終盤までにテキサスでの新記録となる16回のコーションが発生したレースは、最後のリスタート以降、ロガーノらを振り切ったレディックがトップチェッカーを受け、アクシデントや天候による波乱満載の1戦を制圧。序盤戦のカリフォルニアや、プレーオフ初戦のカンザスで自身もタイヤの問題により勝機を逸していた男が『3度目の正直』でオーバル初制覇を成し遂げた。
「本当に心の底から心配していた。それに関して嘘をつくつもりはないよ(笑)」と、安堵の表情で終盤の心境を明かしたレディック。「残念なことに、僕らは速いマシンに乗るたびにタイヤに問題を抱えていて、最後のスティントでは左サイドが本当に激しく振動していた。念のため、ジョーイ(・ロガーノ)に対して築き上げたギャップを最大限に活用しようと考えていた。ここまで強いクルマを手に入れるたび、何かに“噛まれて”きたからね」
一方、プレーオフドライバー最高位の2位フィニッシュを果たしたロガーノは、トップ10圏外に終わったロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)や、7位のバイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)らを従えて、新たなチャンピオンシップリーダーに浮上している。
一方、併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズの第27戦は、破竹の勢いを見せるノア・グラグソン(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、プレーオフ初戦も制して1983年以来のシリーズ4連勝を飾り、今季7勝目に到達している。



