そんなイギリスのリスタート・レーシングや、イタリアのMMモータースポーツらと時期を同じくして、すでにこの2月には新型モデルの納入を受けていたアメリカのL.A.ホンダ・ワールド・レーシングは、すぐにレースには出場せずセブリングでのテストを選択。チームはJASや現地HPD(ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント)のエンジニアとともに新車のテストを続け、すべてのシステムが正常に動作していることを確認したという。
「キャリアのなかで、真新しいクルマをデビューさせるときはいつでも特別な瞬間だ」と語るのは、先代FK8型のTCR車両はもとより、ホンダ陣営のリアルタイム・レーシング(RTR)でアキュラNSX GT3や、独自開発のTLX-GTなどもドライブしてきたエバーズレー。
「2月にセブリングで行われたIMSA初テストで、このクルマのドライブとシェイクダウンの任務を担当できたことは光栄だったし、ラグナセカでの北米レースデビューを担えることにも、同じくらい興奮しているよ!」
そのエバーズレーはポンボとともに土曜開催の2時間耐久に参戦。チームに所属するマイク・ラマーラとウィル・タリーにも、この6月には新型が納入される。
そして同じく今週末に上海で開幕を迎えるTCRチャイナでは、過去2年間をTCRヨーロッパで過ごしたジャック・ヤングが迎えられ、地元ドライバーのマーティン・シェイ・シン・ゼー(謝歆哲)とともに2台体制でシリーズに挑む。
「TCRチャイナでレースできるこの機会に本当に興奮しているよ」と、まずは旧型のFK8でシーズンをスタートするヤング。「世界がふたたび開かれた今、東風ホンダのファクトリーサポートドライバーとして働くことができるのは、僕にとっても夢の実現のようなもの。ビルダーであるJASモータースポーツとのこの2年間の仕事は本当に素晴らしい経験だったよ」
そのJASモータースポーツは、長年にわたってイギリスで開催されているグラスルーツのワンメイクシリーズ『ミルテック・スポーツ・シビック・カップ』にて、2023年のタイトル獲得プライズとしてFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのイタリアでの試乗権を付与すると発表した。
シリーズのチャンピオン獲得者は2023年から2024年の冬にイタリアのJASモータースポーツに2日間招待され、ミラノ郊外にあるファクトリーで生産設備を見学したのち、半日間のシミュレーター研修も実施。2日目はコース上でJASが設計製造した最新のグローバル・ツーリングカーのステアリングを握って過ごす。
そのJASでTCR開発プロジェクトの責任者を務めるマッヅ・フィッシャーは「スネッタートンで開催されたTCR UK開幕戦に参加したときに、シビック・カップを直接見ることができ非常に感銘を受けた」と、この施策の出発点を明かした。
「クルマの数とレースの質、双方の点で圧巻だったし、まさにツーリングカー・レースの次のスターが頭角を現し始める場所だったんだ。シビックのビルダーとして、我々はそのチャンピオンに世界中で最も先進的で最高のパフォーマンスを誇るシビックのツーリングカーを紹介し、彼らがホンダとともにレースのステップアップ・ラダーを昇れることを示すまたとない機会を手にしているんだ」

