明けた日曜の予選でも、前日レース1でフロントアクスルの損傷により唯一のDNFとなっていたサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/マン)や、同じくドイツ人のハーンを退けたキスは、タイトル確定に向け完全に準備を整えてレース3をスタート。
このまま前日同様の“ライト・トゥ・フラッグ”と行きたかったハンガリーの英雄だが、ここでクルシムのイベコがトラブルで止まり、レースは赤旗中断となる。
そのリスタートで一矢報いようと奮起したのはレンツで、ダンロップブリッジ下でインサイドを死守して通過すると、キスの前に出ることに成功。好調な走りでブガッティ・サーキットを周回して1周のリードを保っていく。
しかし、レンツのリヤバンバーに張り付いたままだったキスがすぐさま首位奪還に成功し、そのまま今季19回目のトップチェッカー。これでシリーズ3連覇、自身5度目となるグッドイヤーFIA ETRCタイトルを獲得すると同時に、残り5レースの時点でチームタイトルまで確保した。
タイトル決定の余韻が残る週末最後のレース4で主役を演じたのは、こちらもカップ登録のルイス・レクエンコ(ルイス・レクエンコ/イベコ)で、前戦のベルギー・ゾルダーで開催されたレース3にて、壮絶なエンジンブローにより大きなダメージを負った自身のトラックに代わり、この週末はチーム・ハーン・レーシングからトラックを拝借しての参戦としていた。
普段は“レース・バイ・レース”登録でヨッヘンの息子ルーカスがドライブしていた個体をシーズンの残りの期間で走らせることになったレクエンコは、土曜予選から首位と0.6秒差のラップを刻むと、日曜のレース3でも完璧なレース運びでカップ初勝利を達成。この最終ヒートに向けリバースポールを手にした。
その“レンタルトレーラーヘッド”の速さとパフォーマンスを大いに気に入ったスペイン出身ドライバーは、借主のハーンやアルバセテ、新チャンピオンのキスらを抑え切り、そのままクロームドライバーが「わずかしか成し遂げたことのない」こと、つまり総合優勝を果たした。
これでチャンピオンシップの行方が決まった2023年のETRCだが、最終ラウンドとなる第8戦は2週連続開催となり、この週末となる9月30日~10月1日にスペインのハラマで争われる。

