GAZOO Racing 86/BRZ Raceの第7戦が、9月26〜27日に富士スピードウェイで開催され、プロフェッショナルシリーズでは佐々木雅弘(asset・テクノBS86)が初優勝。クラブマンシリーズでも松原怜史(ネッツ青森CHITOSE86)が初優勝を飾っている。

 前回のレースでプロフェッショナルシリーズのチャンピオンを決めている谷口信輝(KTMS 86)ながら、今回は予選4番手。その前に並ぶこととなったのは佐々木と平中克幸(GY RACING 86)、そして青木孝行(ケーエムエスADVAN 86R)だった。

 特に佐々木は、初めてのポールポジションとあって、予選後は大興奮。「今回は練習から調子が良かったので、ポールは狙っていました。今まで決勝のペースは良かったのに、予選が悪くて納得のいく結果が残せていないので、この調子で決勝も行きますよ! 雨だけが心配ですけど」と必勝宣言も。2番手の平中も「前回の十勝からだいぶクルマとタイヤのマッチングが良くなって、さらにブレーキパッドも変えたら、より突っ込んでいけるようになりました」と、こちらも決勝に向けて手応え十分の様子だった。

 その予選は完全にドライコンディションだったものの、決勝レースが近づくにつれ、雲行きが怪しくなってくる。フォーメーションラップが開始されると、多くのクルマがワイパーを動かす状態に。その雨を“恵みの雨”にしたかと思われたのが、予選6番手の織戸学(モルフォ頭文字DサミーK1 86)だ。

 織戸は、オープニングの1周だけで3番手に浮上。その間に、佐々木からトップを奪っていたのが平中だ。しかし、混戦状態の中で接触があり、平中のマシンはリヤバンパーが外れかかるような状態となってしまう。即座にオレンジボール旗が出され、ピットでの修復を命じられるも、最も速度の落ちるダンロップコーナーで懸案のバンパーが外れる幸運が。オレンジボール旗は下げられ、平中はピットに戻らずに済んだ。

 ただし、ホッとしたのも束の間、今度は2番手に浮上した織戸が平中に急接近。4周目の2コーナーで、平中は逆転を許すことになる。これでもし、雨が降り続いていたなら、織戸はトップで逃げ続けていたことだろう。だが、雨は間もなくやみ、織戸の勢いは削がれてしまう形となる。

 さらにその後、いったん4番手まで退いていた佐々木が織戸に近づいてきたばかりか、周を重ねるごと平中、谷口、大西隆生(オートバックスG7 86ポテンザ)もこのバトルに加わってくる。何とか逃げ切りたい織戸だったが、1コーナーやダンロップコーナーでのブレーキングで姿勢が乱れるようになってくる。そして最終ラップの1コーナーで、佐々木が勝負に出る。インを刺して、佐々木がトップに浮上した。

「一発で決めないと、逆に後ろからやられちゃうと思って、(抜くのを)待っていました。大成功! 実のこの週末がチームの尾崎社長の誕生日だったので、優勝をプレゼントしたかったし、一生懸命サポートしてくれるブリヂストンのためにも、絶対に勝ちたかったんです。正直言って、雨ではつらいセットだったので、途中でやんでくれて良かった」と語ったのは初優勝を飾った佐々木。一方の織戸は「雨が降り続いてくれれば……。それでスタート直後から行けたのに、数周したらやんじゃって」と、恨めしそうに空を仰いでいた。3位は2戦連続で平中が獲得し、谷口は王者として最初のレースで凱旋を果たすことはできずに4位フィニッシュとなった。

 なお、このレースで阪口良平が7位でゴールしたことにより、ランキング2位も最終戦を待たずに決定。2周目の2コーナーで縁石に乗ってスピンしたため、ファステストラップの1ポイントを加えるに留まった青木、大西、そしてPCCJ出場のため欠場となった近藤翼らによるランキング3位争奪戦が、最終戦の焦点のひとつにもなりそうだ。

 クラブマンシリーズでは、ランキングトップの遠藤浩二が予選で「位置取りが悪くて」3列目に沈んでしまったばかりか、決勝でも得意のスタートダッシュがままならず、集団の中にいきなり飲み込まれてしまう。唯一逆転タイトルの権利を残す小野田貴俊(N東埼玉T埼玉KND2和光86)は、1周目のダンロップコーナーで橋本洋平(カーウォッチ86ポテンザED)をかわして2番手に浮上。何としてもあとひとつ順位を上げたいところだったが、4周目のパナソニックコーナーで橋本と接触し、8番手まで順位を落としてしまう。最後は小野田が4位、遠藤が6位に留まったこともあり、王座決定は最終戦まで持ち越されることになった。

 このアクシデントで、後続との間隔を広げることになったのが、ポールポジションからスタートした松原だった。「スタートは大失敗。めちゃくちゃ滑って橋本さんに行かれましたが、コカコーラ・コーナーで抜き返した後は、ミスしないよう、それだけ心掛けていました。後ろで起きていたことも見ていて、そこから先は一気に楽になりました」と初勝利をポール・トゥ・ウィンで飾れたことを、心から喜んでいた。

 なお、橋本は接触が危険行為と判定され、30秒加算のペナルティで10位に降格。繰り上がって2位は「去年、Bレースでトップの経験はあるんですが、それからレースを休んでいたので、復帰戦で表彰台に立てて嬉しいです」と語る土屋潤(サミットブレーキ86)。そして3位は「高島登(エムテックス制動屋SSR86)が獲得した。一方、Bレースは斉藤裕司(HKYエスカランドμ86)が優勝。元プロ野球選手の山崎武司(OTG TN滋賀86)は、表彰台まであと一歩の4位でフィニッシュとなった。

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