DTMドイツツーリングカー選手権を運営するITRと、グランダム・ロードレーシング/インターナショナル・モータースポーツアソシエイション(IMSA)は26日、ニューヨークで共同記者会見を開催し、2015年、もしくは16年から北米でDTMスタイルのレースを開催すると明らかにした。
2012年から新しい規定を導入したDTMは、車両規則統一に向け2009年末から日本のスーパーGTシリーズと交渉を開始。この交渉の裏では北米のスポーツカーレースを運営するグランダムと同様の交渉が続けられているとされていた。
そんな中、26日にニューヨークのタイムズスクエアでDTMを運営するITRとグランダム、そして2014年からグランダムと合併するアメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)を運営するIMSAが共同で記者会見を開催。DTMライセンスの使用、そして共同関係について、グランダム創設者のジム・フランス、ITR代表のハンス-ベルナー・アウフレヒトとの間で署名が為された。
この会見の中で発表された合意によれば、早ければ2015年、もしくは2016年に、グランダムとALMSが合併して誕生するユナイテッド・スポーツカー・レーシングと併催する形で、70分から75分というDTMスタイルのレースを開催。これについてグランダムのCEO、エド・ベネットは「90分のテレビ番組にちょうどいいスタイルだ。最低でも18〜20台の参加を見込んでいる」と語る。
このDTMスタイルのレースについては、ユナイテッド・スポーツカーを問わず、NASCARやインディカーとの併催もグランダム側は示唆。「次なるステップは、さまざまな自動車会社と話をし、北米におけるDTMスタイルのレースを現実化することだ」とベネット。
今回の合意により、この北米におけるDTMスタイルのレースには、ドイツのアウディ、メルセデスベンツ、BMWという3社に加え、スーパーGTに参戦するニッサン、レクサス、ホンダという3社の車両が参戦可能になる。今回の共同記者会見においては、ドイツの3社の代表者が参加し、アウディは「この北米シリーズに参加することに大いに興味を持っている。我々はアウディスポーツ・ノースアメリカとともに、アウディRS5 DTMが登場することに全力を注ぐ」と参戦を示唆した。
また、会場にはグランダム、IMSA、DTMのロゴに加え、スーパーGTのロゴも記された。会見内で、DTMの映像とともにスーパーGTのレース紹介映像も流され、GTアソシエイションの坂東正明代表からビデオメッセージが寄せられた。
「三者での新たなパートナーシップが結ばれたことにより、DTM、グランダム/IMSA、そしてスーパーGTの価値はさらに上がり、これらレースはGT/ツーリングカー・レースの世界的トップカテゴリーとしてあらためて認識されることはもちろん、今後のGT/ツーリングカー・レースのグローバル化への新しい第一歩を踏み出したと言えるでしょう」とビデオメッセージで語った坂東代表。
「ITRは欧州を、グランダムは北米を、そして我々GTAはアジアで、三者で合意した共通技術規則によるレースを振興させていかなければならない責務を負っていることは、あらためて説明するまでもありません。これをきっかけに、三者がお互いに協力しあって、これらシリーズすべての参加者が一同に会する世界的イベント『ワールドファイナル』が実現すると信じています」
ITRのアウフレヒト代表は、北米DTMシリーズの開催に向け「キャデラックやリンカーン、ダッジSRTのようなプレミアムスポーツブランドが参入してくれることを望む」と語った。今後のシリーズの動き、そして日独米の自動車メーカーの動きから目が離せないところだ。