2011年の全日本F3選手権で、Cクラスは関口雄飛(B-MAX F308)が、Nクラスでは千代勝正(NDDP RACING)が最終戦スポーツランドSUGOで大逆転でチャンピオンを獲得したのは記憶に新しいところ。そんなチャンピオンコンビふたりに、今季のこと、そして将来について聞いた。
前回は、今季のタイトル獲得までに至るまでのふたりの道程を聞いたが、今回はCクラスのチャンピオンを獲得した関口を中心に、経験を重ねて得た変化について聞いた。
Q:関口選手は一度海外に行ったりしたことがありましたが、今年は強さという面がすごく見えました。最初にF3に乗った時と、何か変わったことはありますか?
関口:ドライビングについては、基本的にほとんど変わったことはありません。でも、ハコのレースをやることでフォーミュラでもタイヤをもたせる走りができたりするようになりました。F3は抜けないレースですし、特にSUGOでは1秒速くても抜けない。昔はダウンフォースが抜けようが無理矢理行ってましたが、今は割り切れるようになった。どちらにしても無理なら、チャンスを見て抜けるようにコントロールをして。そういう切り替えができるようになったのと、セッティングも経験が積めたので、同じアンダーでもオーバーでも、いろいろと直す部分の中で、ピンポイントで指摘ができるようになりましたね。
Q:JLOCのチームメイトが成長させてくれているんですね。
関口:セッティングについては、失敗したりすることもあるので経験が大事。それを自分でいろいろ重ねて、毎年成長できました。タイヤのもたせ方についても、JLOCの先輩にどうやったらもつか教えてもらって、自分で試して覚えましたね。やっぱり自分で試さなければ覚えない。完璧なドライバー世の中にはいませんが、10コの項目があったら1〜3コくらいは正しいものがある。その中で、自分で参考になるものをピックアップして、自分の経験に繋げていますね。
Q:海外での経験は役に立っている?
関口:やっぱりメンタルの強さの部分でしょうね。海外に行くと緊張もするし、獲物も日本に比べてぶら下がっているし、それなりに上位を走っているドライバーは、いろんな国で速い連中が集まってきている。その中で感じたのは、上位の連中はレースに賭けてやっている。自分もそういう状況だったので、その中で戦えたのは自分にとっても自信になりました。日本のレースでも緊張はするんですが、やっぱり度合いが違う。僕は目標が海外で通用するドライバーになることだったし、そういう強い気持ちが緊張をうまくかき消してくれましたね。最終戦のSUGOの時もそうでした。スタートはあまり得意な方ではないですが、「負けるか!」という自信と思いが緊張を消してくれましたね。
Q:千代選手から見て、海外から戻ってきた関口選手は違った?
千代:う〜ん……もともとこういう性格じゃないですか(笑)。それがなおさら強くなったかな、と思いますね。でも、昔はもっとトンガってたところがあったんですが、最近は謙虚になりましたね。「皆さんのおかげです」とか絶対言わないようなことを最近は言うので(笑)。よく、僕と雄飛が足して2で割ったらすごくいいドライバーになるなんて言われるんですよね(笑)。僕は性格いいよね……なんて言われるんですが、あんまり嬉しくないです(笑)。最近は雄飛も謙虚なので、鬼に金棒かな、なんて。
関口:それが悲しいことに、今さらそうなってもちょっと遅い(苦笑)。昔にできていればもっと違う道もあったかもしれない。でも、気付かないより気付いた方がいい。08年の後くらいは敵ばっかりだったけど、そんな中でもEBBROの木谷真人さんだったり、B-MAXの組田龍司社長だったり、誰か助けてくれる人が出てきてくれたので今があると思っています。気付くだけ良かったかな、と思っています。